第1.5話 If正夢であったなら
別の世界線
ユウヤはいつも夢にうなされていた。体や精神の内に侵食してくるイヤらしい夢。そこでは、ユウヤは長髪でのんびりと暮らしているようだった。
(忘れてしまいたい)
ユウヤは夢に耐えきれず飛び起き、身支度をして冒険者ギルドへ行く。
「よ、ユウヤ」
「あぁ、おはよぉ」
「おはようございます」
座る席は決めていていつもの三人で集まり研修を受けるのだが、最後の研修をだったようで無料で職業につくことが出来た。
「なぁ、初めての迷宮入ってみようぜ」
職業について、最初の言葉は唐突だった。
だが、知識としてはちゃんと身についているので、ユウヤは抵抗しなかった。
◆■◆■◆■
迷宮に入ってみると、不快感が異常であった。
夢の時以上の感覚であり、一般の者ならば死んでしまうかもしれない。
現にユウヤは一瞬だけ気を失っていたのだから。
「わぁ、結構辛いですね。一瞬だけですが、胸の辺りが痛くなっちゃいましたよ」
「……(別にいいのに)」
「入ってくる人の迷惑にならないように、道の横で集まっていよう。また、変に絡まれるかもしれないからね」
「そういや、あったな」
冒険者ギルドに登録した時、グルミという奴に喧嘩を売られていたのだ。
「心読んでるみたいにユウヤ冷静だったよね〜」
「私も見たかったですよ。というか、私絡まれなくてちょっと悲しいんですよね」
「竜人だし、十四だからだよ」
「……やっぱ、ユウヤって心読んでそう」
(あの時は敵意とかは感じなくてからかおうとしてるのが感じ取れてたからな。素じゃあインパクトに圧倒されてたかも)
「ま、そんなことより、迷宮には慣れた?」
「おう」
「はい」
「それじゃあ、出発」
出発と言ったユウヤを先頭として、迷宮内をどんどん進んでいく。そのペースは明らかに初心者とは思えなかった。
ユウヤかニィナが「敵」と言えば、すぐに臨戦態勢に入り、敵と判断する相手を殺していく。
敵を見抜く速度はニィナの少し後ぐらい。
戦闘に関してはかなり強くて、ゴブリンを一対一で瞬殺していた。
「はぁ、ユウヤは凄いな」
「あはは、そうですね」
迷宮から帰ろうとしたところ、悲鳴が聞こえてきた。
「助けなくていいな」
「助けに行かなくちゃ。こまってるかもしれないんだよ?」
「そうです!」
「はぁ、勝手にすれば」
―――途中まで上手く言ったが死んでしまった。
「だから、行きたくなかった。しかも、コイツパーティーに見捨てられたんだぞ。まぁ、ゴブリンに負けるしな」
「……死人を侮辱したら、駄目、ですよ?」
「はぁ」
https://kakuyomu.jp/users/kusomiso/news/16818093077424546318
花はガーベラとマリーゴールド
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