トリカブト 自主企画「花束を貴方に」

 花言葉×騎士

 自主企画「花束を貴方に」

 企画 URL https://kakuyomu.jp/user_events/16817330666018069953?order=published_at

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「団長!」


 昼の俺は誰からも好かれ、頼られる第一騎士団の団長だ。爽やかな笑みを浮かべ、優しくもありながら厳しくもある、まさに絵に描いたような素晴らしい団長だと自分でも思う。そんな昼の俺とは正反対の夜の俺は闇に潜み、獲物を狩り死体の上に座り一服する。それは自分の昔からの願望を叶えるための行為であった。この世界は貴族が偉く、平民はゴミと同然な存在だ。それは自分の大切な人に影響した。


「姉さん。」


 俺の姉さんは村の中で一番綺麗だった。そんな姉さんは突然貴族に連れて行かれ、そして殺されて帰ってきた。その時の姿はあの頃から想像できないほどボロボロになり身体中に痛々しい傷を付けていた。姉さんを渡してきたあの貴族のいやらしい下品じみたあの笑みを俺は忘れない。そして汚れ切ったこの世界に俺は復讐を望んだ。そこからはがむしゃらに頑張った。昼は偽物の笑みを浮かべながら力を付けるべく鍛え、夜はあの男の情報を得るために手を血に染め、嫌な気分は全て煙草の煙と一緒に吐き出した。漸く此処まで上り詰める事が出来た。あと少しであの男の喉元を掻っ切れる。




『──様の護衛任務がお前に来た。精一杯頑張れよ。』


 努力は報われる。そうだよな、姉さん。




 トリカブト「騎士道」「栄光」「人間嫌い」「復讐」

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