第7話「テスト」

 テストの日がやって来た。

 これまで真面目に勉強してきた……つもりだが、分からないことも多い。うう、また中途半端な成績になってしまうのかなとちょっと心配だったが、白石くんもやる前から諦めてはダメだと言っていた。うん、自分なりに頑張ろうと思った。

 テストが始まり、問題を見る。うーん、分かるようで分からない……たぶんこうだよなと考えながら解答を書いていく。

 そうだ、白石くんはきっとスラスラと解けているんだろうな……と思ってチラッと白石くんを見ると、やっぱり横顔が綺麗でドキッとしてしまった。い、いかん、テスト中なのに私は何を考えているのだろう。

 ふるふると頭を振って、問題に取り組むことにした。



 * * *



 数日後、テストの結果が出揃った。

 私は学年百五十人中九十八位だった。うう、半分よりも下になってしまった……特に数学と英語の出来が悪かった。まぁ仕方ない、また頑張るかと思っていると、


「――若月、どうだった?」


 と、声をかけられた。見ると白石くんが覗き込むようにしてこちらを見ていた。


「う、うう、申し訳ありません、九十八位でした……やっぱり授業中寝てるのがよくなかったみたいです……」

「なんで敬語なのかよく分からないけど、そっか、まぁこれから頑張ればいいんじゃないかな」

「う、うん……白石くんはどうだった?」

「俺は三位だった。一位になれるかなって思ったけど、そううまくはいかないみたい」

「え!? さ、三位……! す、すごい……どうやったらそんなにいい点数とれるの……」

「まぁ、真面目に授業受けてればなんとかなるよ」


 う、うう、なんか一気に恥ずかしくなってきた……そうだよね、授業中に寝てるようではこんな順位になっちゃうよね、すみませんでした……。


「真面目に授業受けてもそんな成績はとてもとても……でもやっぱり寝てるのはよくないよなぁ」

「うん、若月は授業中寝るところをどうにかしようか」

「は、はい……」


 なぜか申し訳ない気持ちでいっぱいになって、しょんぼりと小さくなる私だった。


「そんなに落ち込まなくていいよ。あ、そうだ、テストも終わったし、今度の日曜日、遊びに行かない?」


 なるほど、日曜日に遊びに行くと……って、ええっ!?


「……ええ!? あ、いや、その……」

「あ、ごめん、何か用事があった?」

「あ、い、いや、用事があったわけじゃないんだけど、その、わ、私と……?」

「うん、たまにはショッピングモールに行ってみるのもいいかなと思って」


 な、なるほど、ショッピングモールか。あそこはけっこう大きくて、色々なお店がある。駅からも地下通路でつながっているから行きやすい……って、そうじゃなくて、わ、私と白石くんが、出かける……?


「そ、そっか、うん、いいよ……」

「よし、決まりだな、楽しみにしておくよ」


 そう言って白石くんは自分の席に戻って行った。


(……な、なんだろう、私と白石くんが出かけるって、ふ、二人で……? 思わず『いいよ』って言ってしまったけど、そ、それって……)


 私は急に顔が熱くなってきた。や、ヤバい、どう考えてもそれって、でででデートなのでは……? あれ? 私が考えすぎなのかな……。

 その日の授業は眠くならなかったが、日曜日のことばかり考えていて、授業に全く集中できない私だった。

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