2年3組の無気力教師

逢野悠

第1話

 目覚めは最悪だった。


 ジリジリうるさい目覚まし時計にザーザーと鳴り止まない大雨。春だというのに外は薄暗い。

 新学期という概念すら忘れそうなくらい憂鬱な気分で俺、雨宮諒あまみやりょうは自宅を後にした。


 クラス替えだの、新しい担任だの、正直どうでもいい。2年目だし。それに将来的に良い高校、良い大学に行けさえすればそれで良いと思う。…そうすれば父さんも母さんも喜ぶ。


 両親といえば、今朝の夢は酷かったな。よく覚えていないけれど、親子喧嘩をしていて、間に知らない男が立っていた。何もしない、ただ立っているだけの人が。


 何だったんだろう、あの人。そもそもどういう状況だったんだろう。俺は生まれてこの方、一度も親と喧嘩なんかしたことがないのに。



 まあ、所詮は夢なんだから気にすることないよな。

 疑問に思ったところでどうにもならないし。


 子供は大人に歯向かってはいけない。言うことを聞くのが絶対だ。

 親子喧嘩なんてありえない。

 俺は両親に言われることをやるだけなのだから。




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