悪役だけどストーリーとか気にせず自由に生きてます~自由の邪魔をするなら主人公だろうとラスボスだろうと容赦しない~

あと

第1話

とあるニュース


「昨夜未明s県g市にて######さんが遺体で発見されました」


「死因は心不全とみられており…」



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初日


あれ、ここはどこだ?


俺は見知らぬ場所で目を覚ました。


周りを見渡せば豪華な調度品や絵画が飾られており、まるで金持ちの屋敷といった感じだった。


「あぁあうー?」


何故だ?うまく言葉を発することができない。


歯医者で麻酔をかけられたとき以上に口が回らない。


俺はここはどこ?と言いたかったのだが出てきた言葉は妙に高いうめき声のようななにか。


俺はこの奇妙な現象を夢だと思った。


まあ最近徹夜でゲームやってたからなあ。


寝落ちしちゃったんだろ。


意識があるのは眠りが浅いからだろう。


いわゆる明晰夢ってやつだ。


しかし夢だって分かった途端になんだか嬉しくなってきた。


こんなはっきりと意識がある状態で夢って分かったことは今まで一度もなかったからなー。


折角だし色々夢を叶えてみるか!


まずはおいしいものが食べたいな。


どうせなら可愛いメイドさんが持ってきてくれるともっと嬉しい。


そう念じた途端まるで体の奥底から力が抜けていくような感覚があった。


何だ今の感覚?それになんだか急に眠くなってきて…


夢の中で更に眠るとはおかしな話だ。


ただ俺が最後に見た光景はまるで豪華な食事をもった可愛いというか綺麗なメイドだった。


ああ、もうちょっと起きてれば?寝てれば?食事を食べられたのに…。


そして俺の意識は落ちた。



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「あれ、おかしいですね。何故私は食事を持ってこの部屋にいるのでしょうか」


私はこのバーナード家で働かせて頂いているメイド。


ついさっき思念伝達の魔法を受け取り、その要望通りに食事を持って部屋に来たのだが…。


「どうみたって、ここに食事を食べる人なんていないというのに」


この部屋はつい先日産まれたばかりであるアルカ・バーナード様のお部屋。


もちろん赤子である彼にこの食事が食べられる訳がないだろう。


「しかし、場所は確実にここだったはずなのですが…」


そもそもがおかしな話なのだ。思念伝達の魔法は貴族である旦那様や奥方ですら発動が難しい魔法。


そんな高度な魔法をこのような言付ければ済む用事に使うわけがない。


「しかし、そうなると誰が?」


候補は二つしかない。


一つは屋敷に忍び込んだ誰かが食料を欲して使った。


しかし、こんな高度な魔法が使える人材がそんな行動を起こす可能性など限りなく低い。


そして二つ目は、前の仮説よりも更に可能性が低い。


「まさか、アルカ坊ちゃまが?でも産まれたばかりで魔法を使うなんて前代未聞…」


魔法使いとして訓練なさった貴族の皆様ですら使える人は少ないという思念伝達の魔法。


その理由は大量の魔力を離れたところにいる相手に結び付けるという技量も魔力量も要求する敷居の高さにある。


「しかし、でも、うむむ…」


結局その日は謎の事で頭がいっぱいで仕事にも手がつかなかった。



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2日目


ああ、また同じ夢か。


昨日と同じ光景。ただ少し変わっていることと言えばまるでこちらを訝しむように見ている昨日意識が落ちる前最後に見たメイドと好奇の目を向けるいかにも魔法使いです!といった格好をしている女性。


なんだか話しているようだが聞き取れない。日本語ではないようで発音は明らかに外国のものだ。


なんで俺の夢なのに俺の知らない言語が出てくるんだ?


まあいい。


昨日は失敗に終わったが今日こそは食事をもらおう。


昨日のように念じるとまた力が抜けていくような感覚が。


しかし昨日と違いすぐに眠くなるようなことはない。


これなら今日こそは食べられるはず!


なんだか近くにいる二人がうるさいが気にしないでおこう。


…ああ、きたきた。


暇なものだから配達につけられたGPSを追うみたいに食事を持ってきてくれた人の居場所を感知していたのだがあっていたようだ。


そういえば感知を始めたら二人はもっとうるさくなったな…。


見るだけで腹が減ってしまいそうな豪華な食事。


しかしまた眠気が襲い掛かる。


ああ、そういえば感知のときにも力が抜けていくような感覚があったな…。


また昨日と同じかよ。ん?昨日?あれ、そういえば俺は今日寝る前まで何をしていたんだ?


昨日までしか記憶がない。


一体、なんで…


思考の途中で俺の意識は途切れた。



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3日目


周りには面識がないはずなのに見覚えのある、貫禄のある男にモデル顔負けの美人。


そして昨日もいた二人と最後にきた一人。


それらが俺を見ながら話し合っている。


なんて言っているのか全く理解できない。


言葉が理解できるようになれと念じれば力が抜けていく代わりに会話の意味が分かる。


でもまた騒がしくなって普通に聞き取りづらいな…。


「…アルカ…魔法…バーナード…魔導院…シェリフ…」


聞き取れたのはアルカやバーナード、シェリフという名前?と、魔法と魔導院というワード。


何だか聞き覚えがあるような…?


「しかし、アルカ様は…」


「そんなことはこのシェリフ・バーナードの名において…」


アルカは俺?


それにシェリフ・バーナードって確かゲームの悪役の父親の名前だったはず…。


アルカ?アルカ…アルカ!


そうだ思い出した。アルカ・バーナード。


度々主人公の邪魔をしてはやられるかませ犬のような存在。


マルチエンディングのゲームだったため進むルートによって異なるが彼が死ぬルートも割とあった。


ああ、そうかこれは夢じゃなく現実。


俺はゲームの世界に転生した。


それも主人公なんかじゃない、かませ犬の悪役に。




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どうも、【あと】と申します。

これから投稿していくので読んでくれたら嬉しいです。

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