第四十一話
「ここのところ今上帝も病がちで。みんな、お前のせいであろう?
「そんな……!」
あたしはたまらず口を挟む。
すると
「……おぬしが
「宮子を呼んだのはわたしです」
「それに、
聖子皇后は憎々し気に
「……ほんとうに、そっくりじゃ。見れば見るほど、あの女に」
「せっかく、
聖子皇后は、今回の
「天皇家の力が弱って来たところを、我が父が回復させようとしたのに。わらわはずっと努力してきた。当時皇太子であった
聖子皇后は唇を噛んだ。
この方は、
恨みを重ねて重ねて。
さらに、恨みをこんなにも長く抱いたまま生きてきて。
……さぞや、苦しかったことだろう。
自分で自分に呪いをかけているのと、同じだ。解けない呪いだ。
「穢れた血が入っている
市原王のあどけない顔を思い出す。
清白王を探して、「兄さま」と言っていた、あの愛らしい顔。
市原王には
ふと見ると、高子
ああ。
きっと、市原王が生まれるまでは高子
皇太子に相応しいのはわたくしです!
高子
聖子皇后は、もう一度繰り返した。
「穢れた血の
その瞬間。
天が俄かに搔き曇って、暗雲が垂れ込めた。
耳を刺す、鋭く恐ろしい声が聞える。
「
勝ち誇ったような聖子皇后の声が、暗くて黒い中に響く。
黒い空を見ると、大きな黒い鳥が飛んでいた。
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