4枚目・スマホ

 俺は教師。数学を担当している。

 気持ち悪いことを言うことになるかもしれないが、俺が担当してるクラスにとても可愛い子がいるんだ。その子が今の私の教師をする原動力となっている。

 その子がこの前スマホを忘れていったんだ。だから翌日返そうと思って一旦家に持ち帰ったんだよね。

 結局返そうと思っていたけど、ガラスが割れていたので修理してやろうと思って、まだ返していないんだが。


 ***


 ある日の夜のこと。


 プルルルッ、プルルルッ!


 着信音が鳴り響いた。

 俺は超焦った。俺はそのままスマホを放り投げて、俺は寝た。


 翌日、学校に行きホームルームの時間まで教卓で待っているとこんな声が聞こえた。


「昨日スマホ盗まれてさ、マジ最悪! ふざけんなよ」

「そうなんだ、可哀そうに。まだ見つかんないの?」

「そう。思い切って電話をかけてみたらさ、なんかキモイおじさんの声がしてさ、本当に最悪! もし戻ってきても触りたくないわ、本当に最悪……」

「まま、そんな落ち込まないで。訴訟すれば賠償金かなんかもらえて新しいスマホ買えるでしょ」

「そうか……な? まあ落ち込んでたらよくないしね」


 俺はその話を聞いて冷や汗をかいた。

 この子のスマホは俺が盗んだ。なら、なんで?

 その日はまともに授業ができなかった――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る