不具合をなくすためにすること

よろしくないから不具合を報告する

 製品の具合によろしくないところを見つけたら、「不具合がある」と知らせる必要がある。よろしくない状態はなおしたほうがよいに決まっている。だから、よろしくない、なおすように、と報告するのだ。

 不具合のある製品を手に取りたいお客さまは、まずいない。自分の心身の状態に置き換えてみれば、不具合報告の必要性が理解しやすいだろう。症状を知るのが、よくなるためのはじめの一歩である。もし診察を担当した医師から『あなたの体 (もしくは心) には病がありますが、よろしいでしょうか?』と問われたら、その質問はなんなのだ、と思わないだろうか。よくなりたいから病院を訪れたのだ。病が気になり、時間とお金を使ってやってきた。そのままでよいはずがない。あなたが患者ならばこう言うだろう。『わたしの状態をよくしてください』と。

 だが、自分の心身でなく製品の不具合となると、他人事のように扱われることがある。こんな不具合報告が飛び出すのだ。『仕様設計と異なる挙動をしていますが、よろしいでしょうか』『別の音が鳴っていますが、よろしいでしょうか』『言葉の用いかたが誤っているように思われますが、よろしいでしょうか』などなど。なぜか「よろしいか?」と質問してくる。よろしいわけがない。

 考えてみてほしい。報告するのは、製品の具合をよくしたいからではないだろうか。具合のよくない状態を見て、このままではいけないと感じたから、報告するのではないだろうか。

 誰かに気を遣う必要はない。不具合報告は、健康状態のよい製品を世に送り出すために欠かせないことなのだ。製品の具合がよければ、お客さまはもちろん、プロジェクトにかかわるすべての人が、うれしいと感じるだろう。

 不具合はよろしくないものと扱い、なおすように、と明確なメッセージにして報告しよう。よろしい不具合など、ひとつとしてない。

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