第3話 夏の星座をご案内2(情報収集はしっかりと)


//SE さらさらと風の音。


「南の空には、紅い星が上がって来たね。

 あれはアンタレス。

 アンタじゃないよ。

 アンタレス」


「私、君とは小学校からの付き合いだけど、君のこと『アンタ』なんて呼んだことないからね。

 アンタレスは、さそり座の赤い星の名前よ」


黄道十二星座こうどうじゅうにせいざの一つだね。

 え、これも知らないの?

 星占いの星座のことを黄道十二星座っていうんだよ?」


「ち、ちなみに君はなに座かな?」

// 緊張気味に。


「え、さそり座なの?

 11月生まれ? 違う10月?

 文化祭ごろだね……。

 文化祭ごろお誕生日っと……」


 // _φ(・・ )メモメモ


「ん、なんでもない、なんでも。気にしないで」


「私はね。おとめ座だよ。

 似合わないと思ったでしょう?」


「そんなことない? 

 気を使わせてしまって、ごめんなさい……」


「あのね。星座占いの星座は、占いの誕生月と見える月は真逆だったりするんだよ。

 だからほら。おとめ座も見えることは見えるけど、あれは春の星座だから、もう西の空に沈む時間だね」


「おとめ座にある、すっごい輝く青白い星が見えるかな?」


「あれはスピカ。

 麦の穂という意味なの。

 日本では真珠星なんて呼ばれてる」


「そう、日本の星の名前もあるんだよ。

 スバルなんて、外国の名前みたいに聞えるけど、あれも和名の星なのよ」


「おとめ座は翼のある美女として星図では描かれているけど、実は一人の女性だけをイメージしてるわけじゃないの。

 おとめ座は、正義の女神アストレイアであったり、豊穣の女神、大地の女神デーメテールだとも言われるわ」


「君は、その……。真面目で正義感が強くて規律を重んじる委員長タイプの子と、母性本能が強そうでおいしいものをいっぱい作ってくれるお料理上手な子と、どっちがタイプ?」

// どきどき。少し緊張気味に。


「『どっちも美人なら、タイプ以前に無理でしょ?』

 夢がないって言うか、結構、弱気なのね。

 そんなに真剣に考えちゃうところも、いいと思うけど……ぶつぶつ」

「あ、君はキャンプ飯は得意なのね。

 料理できるのか~。

 じゃあ、委員長タイプはどう?」


「え、遅刻をとがめられそうで怖い? ふむふむ、なるほど」


「どっちも有力候補ではないっと……」

// _φ(・・ )メモメモ

「ん、なんでもない、なんでも。気にしないで」



「私の誕生石じゃないんだけど、真珠っていいよね。好きな人から、スピカだよって言って、真珠をプレゼントして欲しいなぁ」


「『ずいぶんロマンチストだな?』って、

 うわぁぁ。私、声に出してた?

 あ、今のナシ。聞かなかったことにして~」

// 顔を手で隠し恥ずかしがる。


「そうだよ。女子は星占いとか、誕生石とかそういうのが好きなんだよ」


「君は、今、欲しい物とかある? 

 ん? ファイヤースターターが欲しい?」


「スター? 星好きだったの??」


「え、違う。スターター? 

 ああ、着火道具か! なるほど」


「今欲しい物は、キャンプ道具っと……」

//_φ(・・ )メモメモ。


「もう、こっちは恋の着火してるんだけど……」

//ぶつぶつ小声で。


「あわわっ。

 なんでもない、なんでも。気にしないで」 

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