第47話 イケメン
小さい頃からコンプレックスだらけの顔。
だから、大人になって自分で働いて金をためて、整形をしようと決意した。。
これと言って希望があるわけではなかった。ただ、今の自分の顔を全て変えたかった。
それほど金に余裕があるわけではなかったから、ネットでなるべく安くて口コミが良いところを探して、一大決心のうえでクリニックに足を踏み入れた。
思いの外、こじんまりとした、人目につきにくいクリニックだった。
「とにかく、この顔を変えたいんです」
そう伝えると、医者はパラパラと何かを見ながら少し考えたあと、小さく頷いた。
「わかりました。お任せください」
かなり大掛かりな手術になったので、一泊入院になった。術後は腫れも酷かったが、さすがに口コミどおりの技術はあったようで、暫くすると腫れも落ち着き、数日後には見られる顔になった。
予想以上に整った顔。今流行りのイケメンと言っても過言ではないだろう。
これから先の未来を想像すると、心が踊る。
……でも、どこかで見たことがあるような?
まぁ、今流行りのイケメンなんて、どれも似たりよったりな顔だから、そう感じるだけかな。
新しい顔を手に入れて、胸を張って意気揚々と街に繰り出したとたん、何故か警官に捕まった。
悪いことなんて、何もしていないのに!
だが、警察に連行されて、始めて知った。
この顔、指名手配犯の顔そっくりじゃないかっ!
あの医者、わざとやったのか……?
まさか、な。
今流行りのイケメンなんて、どれも似たりよったりの顔だから、な。
【終】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます