ハンカツマエ

水筒の 水飲む度に 空の青


夏木立 カーブミラーに

濃く溶けて

数歩前のクーラーが

懐かしい

首筋の汗 Tシャツの中で

背中を滑っていく


夏蝉が  黙るほど 炎天下

逃げ水の 奥に立つ 信号機

踏切が  喚いては 無人駅


ジュースを買って夕立を待つ



サルスベリ 暮れない夕に 忘れ物


昼花火 電線越しの

ビル陰に

日傘だらけ雑踏が

忙しない

ペダル踏む足 サンダルを履いて

コンクリートが揺らぐ


夏草に   むせるほど 望郷心

コンビニの 店先の   誘蛾灯

思い出が  嵩んでは  蜃気楼


ベンチに座って夕暮れを待つ


行かないでもう1回


空蝉が  落つ町の 商店街

夕映えの 神社の  花手水

入道雲  崩れては 夏景色


「また来年」って笑って言うから

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