第2話報道

 『世界各国首脳による緊急共同記者会見』

「ローマ近未来国際会議場より、NBCの中村がお伝えいたします。

 先日、発表された異例の全世界通達に関して、各国の首脳による共同記者会見がまもなく始まろうとしております。すでに、アメリカ大統領を始めとした主要国の首脳は会場入りしており、さらに、会場入りした顔ぶれでは、世界的な宗教指導者や、世界的大企業、財閥のTOPなども見られております。

 記者会見はオンライン中継になり、リアルタイムで視聴者からの質問を受け付けております。頂いた質問の中からワードなどのトレンドを集約して最も興味を持たれている質問を会見中に回答するとのことです。

 その他の質問に関しては、政治的な内容を除いて、機構から質問者に回答すると発表されております。以上、ローマ近未来国際会場からお送りしました」

 会場は関係者のみとなっており、厳重な警戒の中、首脳、宗教家、起業家の代表が壇上に並んでいる。

 司会が開催を宣言し、アンドリュー・モンローアメリカ大統領が前に出て、今回の経緯を説明した。

 「アメリカ合衆国をはじめ、国連加入国百八十二カ国、非加入国七カ国、自治区、独立国、十三地区は地球再生創造機構に従属することになりました。

 機構は各国の上位組織となり、我々、賛同国は機構の指揮命令下に置かれることになります。日常生活に大きな変化はありませんが、機構の通告は、超法規的措置として、各国の憲法、法律、人権を超えて執行されます。

 我々が機構に従属した経緯は極めて平和的な交渉と合理的な提案、現在の地球環境を鑑みた結果であります。本通告は極めて重要であり、且つ、迅速に対応することが必要であり、百XX代アメリカ大統領とし、また、各国首脳を代表して本宣言を遂行することをここに宣言致します」 

 世界のTOPが一斉に深々と頭を下げた。ネットの中では罵詈雑言のコメントで溢れ返っていたようだが、彼らが頭を上げると同時に映し出された映像は、罵詈雑言を黙らせるだけの力を持っていた。

 奇を衒うわけ訳でもなく、過剰な演出や恐怖を煽るような事も無く、淡々と現状を説明し、事実を積み上げ、この先、人類に起こるべき、現実を表現していた。そして、それはこの通告の意図を理解させるには十分過ぎるものであった。

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