第8話 打ち合わせ

 打ち合わせをする為の部屋を借りに宇宙港のカウンターに行くと、5分過ぎては居るが3時からだった会議室が1つ空いているとの事でそこを二時間借りた。

 会議室に行き、打ち合わせを始める。


「それでは、どのようなクローンが必要なのか伺って宜しいでしょうか?」

「記憶に人格と考え方、それにアストラル体の引き継ぎです」


 アストラル体というのは昔は魂って呼ばれていた物だ。これを移植しなければ帝国だと本人と認められない。

 

「それは、今回作るクローンの後継ボディに何かあった時にあなたの立場を引き継ぐと言う事で会っているでしょうか?」

「そうですね。大体会っています。ただ、引き継ぐと言うよりもアストラル体まで移植するので乗り移るが正解の様な気がしますけど」

「そうかもしれませんね。それで移植するクローンの性能は弄るいじるのでしょうか?」

「はい。せっかく乗り移るので弄って高性能なクローンにしたいと思います」


 せっかくクローンと言う新しい体が手に入るのだったら色々と弄って高性能にしたいよね!

 

「そうですか。ではどのように弄ればよろしいですか?」

「身体能力は3000万馬力で脳は超高性能な生体コンピューター並みの計算力と記憶力に予測計算術と聴覚と視力を今の10倍に上げて下さい。動体視力は1000倍で! 後、最近開発されたと噂のシール型端末で宇宙ネットに直接直接セスアクセスできるようにして下さい」


 楓に守られてばかりだと格好がつかないからな。

 

「ちょっと待って下さい! 帝国法だと今回のケースは継承に当たりますが、本人その者と認められるには過度の改造は禁止のはずです!」


 ちょっと待て、なんで楓が出て来るんだ? 大人しくしてるって約束だろ!

 

「はい。そうですね。ですがアストラル体まで移植するなら大幅な改造が認められるケースも結構な頻度でありますよ?」

「それはそうですが、オーナーの資産を狙うとしたらどんな手を使ってくるか分かりません! ここは安全策で行くべきです!」

「では楓さんはどのような基準なら確実だと考えるのですか?」

「身体能力も脳も今の10倍まででです」


 何だ、その低性能は!

 

「ちょっと待て、それは俺が納得出来ないぞ!」

「オーナーは黙っていて下さい! これは大事な事なんです!」

「俺の事なんだから黙ってられるか!」

「そうです。我が社は顧客第一ですのでタローさんの要望にできる限り答えます」

「そんな! そんなぁ~!」


 当たり前の事を言われて泣き崩れる楓がいる。何で、低性能にしたいのだろう?

 

「それでタローさんの要望は”身体能力は3000万馬力で脳は超高性能な生体コンピューター並みの計算力と記憶力に予測計算術と聴覚と視力を今の10倍に動体視力は1000倍”でしたね」

「はい。そうです」

「まず身体能力ですがいきなり3000万馬力というのは難しいです」

「それは技術面でと言う事ですか?」

「ある意味技術面になるのかもしれませんが、……いきなり常人が3000万馬力の身体力を持つと手加減が出来なくて色々とグチャッとしちゃうんですよ」

「色々というのは?」


 まさか。人間もグチャッとじゃないよね?

 

「その~、人間も含めての話です」

「本当ですか。それはダメです」


 駄目駄目! 何かの弾みで人間をグチャッとするのは駄目。

 

「それで、現実的な線としては余裕を見て3万馬力で様子を見て慣れて貰うという点と、脳に制御用のプログラムをインストールする方法の併用が良いと思います。まぁ、併用の場合は30万馬力でもさほど手間は変わらないんですけどね。余裕がなくなるんです」

「リュナさん、よく言った! 3万馬力ならギリセーフよ!」


 なんで楓が復活してるんだ?お前の基準は10倍じゃなかったのか?

 

「それで、視力と聴覚の方とシール型端末で宇宙ネットに直接直接セスアクセスできるようにする事ですがこれは問題ないですが、聴覚は5倍にしておいた方が良いかと思います。10倍だと虫の動き回る音も拾ってしまうので。今度は脳の方ですが”超高性能な生体コンピューター並みの計算力と記憶力に予測計算術”となると遺伝子改造の範囲が大幅に超える可能性が高いのですね。ですのでここは次回の目標にして今回は高性能な生体コンピュータで納得して頂き次回用の先を見据えた土台を遺伝子に組み込んでおくと言う事でご納得頂けませんか? これでも素直に許可が降りるギリギリの線を攻めているのですが……それに許可が心配でしたら事前審査で先に許可を取得しておく事も出来ますし……。それと、今回クローン用の細胞を何カ所か取らせて頂きますね」

 

 う~ん、そうだな。このくらいが妥当か。事前審査もあるしな。

 後はクローンを育成するカプセルの話だな。正直、宇宙船に乗せるのでワープの付いた脱出用カプセルも兼ねたい。

 しかも、脱出した先に惑星があるならそこで降りてカプセルが自力で食料や水を取ってくれると助かる。

 あ!再度の大気圏離脱も入れとかなきゃ行けないな。


「そうですね。クローンの方は事前審査があるならそれで良いです。それで育成カプセルの方なんですが、宇宙船に乗せるのでワープ付きの宇宙船脱出用カプセルと兼ねて+脱出先に人が住める惑星があるならそこに着陸出来て再度の大気圏離脱も出来る用に作って欲しいのです。

 それに、育成カプセルが自力で移動出来て食料や水を取ってきてくれて栄養素に変える事の出来る機能も付けて欲しいし自立判断できるようAIを付けたり、ナノテクノロジーで大気に異常は無いか色々なナノマシンを分析・精製出来るようにもして欲しいです。

 あ! 極限状態で育成液の使い回しが出来る用に育成液のクリーニングと精製を付けて欲しいです」


 楓が何か言いたそうにしているので言わせてみた。


「それに加えて、育成カプセルを出てから頭の怪我や機器を設置する自動手術をするのに使えたり、それ以外の緊急事態に使える手術機能と各検査機能に大気圏脱出機能は大人になっても使える様に作って欲しいです。後、自衛機能と自動修復機能と擬態機能も付けて欲しいです。勿論、壊れない様に頑丈に!空間圧縮技術を使用して!空間圧縮技術は私達が使用すると聞くと軍から技師が派遣されて設計に加わると思いますので!」

 

「育成期で同期するのにクローンが宇宙ネットに繋がる機器を設置するのに耐えられる大きさに育ったら育成期の中でシール型端末で宇宙ネットに直接直接セスアクセスできるようにするので。その後の、頭を手術して同期機器を埋め込みタローさんと同期を取るのでそんなに心配しなくても良いと思うのですが、要望は分かりました。それ以外も要望は賜りました。技術担当のゴンさん、出来る?」

「育成カプセルがそれなりに大きくなるが空間圧縮技術が使えるなら不可能じゃないな。AIはどの程度を想定してるんだ?」

「一応、極限化で正常な判断を下せるぐらいには」

「それじゃぁ、少し高級品になるな。でもAIだからそんなに費用はかからんだろう。掛かるとすればハードが掛かるかな?」

「それでは詳しい見積もりは後で送らせて頂きますね。それでよろしいですか?」

「あ! AIは少し高級品じゃ無くてどういった対応も出来る様に頭脳であるチップ共々、最高級品にして下さい」

「分かりました。他に要望が無ければこれで行かせて貰いますがよろしいですか?」

「「よろしくお願いします」」

 

 俺達は揃って挨拶した。

 あ!大事な事いうの忘れてた。小声でリュナさんとゴンさん2人を呼んで言う。


「すみません、個人的で非常にデリケートな問題なのですが……クローンのあそこは普通よりも少し大きめにして真性包茎だったら真性包茎じゃないように手術しておいて下さい」

「……分かりました」

 リュナさんは顔を少し赤くして言った。


 そうして俺はクローン用の細胞を取られて打ち合わせを終えた。

 ついでに何時もの如く残り2大宝くじを購入していつもの様に外れた。


―――――――――――――――――――――――――――――

次回の内容は一等操縦士の国家記述試験です。

合格できるのか?

ご期待あれ!

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