第5話 短期免許合宿

 楓と宇宙船の事で、話し合った翌日にある程度纏まったので、メーカーに伝手のある宇宙船キャノンボールの開催委員会に連絡して宇宙船を注文した。

 

 宇宙船の外殻は開発中になっているが、実際は開発が終わって軍の資材の備蓄に走っている素材をお願いした。

 補修剤も内殻と外殻の間に最新の補修液を満たした設計にした。

 武装は軍の最新兵器で注文した。

 エンジンは疑似マイクロブラックホールを使用した開発終了したばかりのエンジンを12機搭載した。

 メインコンピュータは軍の電子戦での世界一になったコンピュータを3機同期して使用する事になったと同時にサブコンピュータも同じ構成にしたが、思考ルーチンは電子戦を考えて別にした。

 輸送スペースになる場所は単独で船体に着脱出来る輸送船を2隻や他の場所も軍の最新の空間圧縮技術で余裕を持った設計になっている。

 勿論、大気圏突入脱出出来る設計だ。

 

 

 こうして色々な条件を加えていくと戦艦2隻分以上の金額になったが、宇宙船キヤノンボールの賞金の投資利益で賄える額だった。

 ほ、本体が減らない!

 そうこうした末に注文した宇宙船なので、完成には約一年程かかるらしいが今から完成が楽しみだ。


 それはそうと、一等操縦士になる短期免許合宿を何処にするのか決めなくてはならない。

 色々と楓も動員して色々と調べた結果、評判も良く価格もリーズナブルで追加資金も高速料金航路以外無い半民半官の宇宙コロニーになった。

 1週間後に入学になるので急いで荷物を片付けて楓の必要な品物を購入したり、アパートの契約を解除したりして慌ただしく用意をした。


 幾つもの宙路を経由して判民半官の宇宙コロニーに着いた。

 言われた時間の宇宙便に乗ってきたが出迎えが誰か分からない。

 そうしてる内に大きな声でタローと楓を読んでいる声がした。

 そちらに行ってみると、でかい男の人が俺達の名前を呼んでいた。

 筋肉が凄くてゴリマッチョってこういうのを言うんだなと思わされた。


「よう、タロー・コバヤシと楓であっているかい?」


 ゴリマッチョはいきなり声をかけてきた。


「はい。合っています。それにしても凄い筋肉ですね!」


 俺は気になっていた筋肉についてつい言ってしまった。

 

「会った者は大体がそう言うよ。自慢の筋肉さ! 俺の名前はオリバーだ。オリバーと呼んでくれ。タローと呼んで良いかい?」


 いきなりぐいぐい来る人だなと思いつつも別に呼び方はどうでも良かったのでOKする事にした。

 

「はい。構いません。オリバーは教官ですか?」


 教官の様なそうじゃ無い様な雰囲気があったので聞いてみた。


「教官兼寮夫だな。これからポーターで学校に向かって手続きをしたら寮に向かうから着いてきてくれ。荷物も忘れずにな!」

 

 そうしてオリバー+俺と楓と一緒にポーターに乗り込んで学校に向かった。

 学校ではおばさんが入学の手続きをしてくれた。


 オリバーに案内されて、寮の自分の部屋に通された。

 部屋を見た感想はというと……。


「典型的なユニット部屋だな」


 俺がそう言うと楓が質問したそうにして言ってきた。


「ユニット部屋って何ですか?」


 どうやらユニット部屋という言葉を知らなかったらしい。


「ユニット部屋と言うのは宇宙船や宇宙コロニーに使われている共通規格みたいな物でこの部屋を宇宙コロニーから外して宇宙船に簡単に設置出来て、そうすれば荷物の整理も要らずに引っ越し完了するっていう部屋だな。うん」

 

 一応、俺は個室になる様に追加料金を支払っている。だからもう少しマシな部屋かと思ったがそうはいかなかったか。

 勿論、後で見に行った楓の部屋もそうだった。

 

 個人部屋にしたのは1年間世話になるのに知らない誰かと相部屋は嫌だ!と言うエゴも入っている。

 そんなこんなで引っ越しを終えて明日から一等操縦士になる事業が始まる。通常で取ろうとしたら丸5年間掛かるのを1年間に短縮するだけあってスケジュールは過密だ。

 ましてこのオートマチック全盛のご時世の中、マニュアルで一等操縦士の資格を取ろうという物好きは余り居ない。

 余り居ないって事はたまには居るって事だ。

 その中でも、短期合宿でマニュアルの合格率が飛び抜けて高かったのがここの免許学校だった。


 翌朝、言われた通りの時間に起きて朝食を取れば早速学校に行き、訓練の開始だ。

 最初は座学の時間だ。

 宇宙交通法から学ばされる。

 これらは二等操縦士でも習った内容だが、幾つか変化している所があるので注意しなければならない。

 そうして午前中は簡単な座学をした。

 

 午後からは実習をする様だ。

 俺の担当はオリバーだ。

 講習宙域を大型の宇宙船で操縦するのだけれど、これがまた難しい。曲がる時に船体の大きさを見誤って規定の線を越えてしまったりトラブル発生時の練習が突発的に入ってきて上手くいかなかったりと初日は散々だった。

 楓の方はと言うと、マニュアルでの一等操縦士の操縦の仕方はインストールされていなかった様で俺同様散々だった様だ。

 帰る時にお互いに愚痴を言い合って慰め合った。

 結局、その日の夜は落ち込んでしまって浮上出来なかった。


―――――――――――――――――――――――――――――

次回の内容は合宿と言えば歓迎会だ!楓の性癖も少し出るよ?

ご期待あれ!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る