死者の日常

みゅうた

第1話 私は…死んだはずなのに

私は父に処刑された…


いいえ…


そうなるようにしたのはこの私…



気がつくと真っ暗闇な中に漂っていた…



ここは何処だろう…



誰かが私を呼ぶ声がしたような気がする…



声のした方向を見ると光が見えた



そこへ向かう事にした



光の方向へ向かうと眩しさに目が眩んだ



再び目を開けるとそこは何処かの町の中のようだった



あれ?私って死んだはずでは?



町の中には沢山の人々が普通に暮らしているように見える



訳がわからなくて混乱していると声をかけられた



見覚えのある人物が目の前に立っていた



思わず声を上げた



「お母様?」



「久しぶりって言うのも変だけどよく来たわね!立ち話もなんだからこっちに来て…詳しい事はお茶でもしながら話しましょ♡」



そう言うと母はとある建物の中へ連れて行ってくれた



「さぁ座って〜お茶とお菓子を用意するからくつろいでいてね〜」



なんだか拍子抜けしていると母がお茶と茶菓子を持って来た



「驚いたでしょ?ここは死んだ人間が次に生まれ変わるまで過ごす場所なのよ〜いわゆるあの世って事ね〜」



「普通の町のようなこの場所があの世?信じられないわ…」



「私も初めは驚いたわ〜神様が言うにはあの世でも普通に仕事を与えられて生まれ変わるまでここで過ごすらしいのよ!その間は好きな年齢の時の姿で居られるのよ〜凄いでしょ?」



思いの外能天気な受け答えをする母をよくみると私が知っている母よりも若い姿なのがわかった



「お母様は何歳の頃の姿なの?随分と若いような感じがするんだけど…」



「新婚の頃の姿にしたのよ〜あの頃が1番幸せだったから…あの人も私の側にいてくれたし」



「私が死んだ後…お父様たちはどうしてるの?」



「あの人は少し塞ぎ込んでるようよ…自分の手で愛娘を刺殺したんだから仕方ないけど…」



「私がエルフの王を暗殺したばかりに重荷を背負わす結果になったわ…今ここにいるのは複雑な気分だわ…地獄に落とされて当然な事をしたんですもの」



「リンダ…貴女をここに呼び寄せたのは私なの…どうしても地獄に落ちる我が子を見たくなかったから…私のエゴよ」


「!!」



「貴女が罪の意識に苛まされて父親であるあの人に処刑されるようにしたのを見てどうしても救わなければいけないと思ったの…このまま地獄に落とされるのは違うと思ったのよ…」



母の言葉になんと言えば良いのかわからなかった



しばらくすると後ろから声をかけられた



そこに居たのは愛しい人だった。思わず名前を呼んだ



「ダイダロス様!」



「リンダ…こんなに早くここで君に会えるなんて…辛かったね…もう苦しい思いをしなくても良いんだ…生まれ変わるまで俺と一緒にいよう」



2人は抱き合い熱い抱擁を交わした



「相変わらずお熱い事で…もう少し休んだら仕事に戻るわよ。リンダにはダイダロスの仕事の手伝いをしてもらうわ」



ダイダロスに連れられて来た場所は何やらモニターのようなものがあり何やら映し出されていた



「ここは?」



「下界の様子を見る場所だよ。まぁ見るだけで干渉するのは難しいけどね」



モニターに映し出されたのはリンガイア王国の様子とディナライン王国の様子だった



「観察するだけで良いの?それ仕事になるなんて楽過ぎないかしら?」



「ここではただ見守るだけしか出来ないわ…手助けする事は原則不可能なのよ…例え何があっても…」



この母の言葉の意味を知る事になるのは少し先の話になる





解説


この話はウィングナイト物語の舞台で死んだ人物が生まれ変わるまで過ごす世界の物語になります。


主人公はリンガイア王国の王女だったリンダリアです。


物語の始まりはまだ彼女が死んだ直後になるのでリンガイア王国が魔物の群れによって陥落する前になります。



本編であるウィングナイト物語のネタバレにならない頻度で進行する予定になります。


あくまでウィングナイト物語の番外編なので本編に登場していない人物も出て来ます。



本編と少し趣が違う物語になると思うので楽しんで頂ければ幸いです。

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