第20話 恐れていた最悪の答え。ゆえに、交渉決裂
腹立たしさを抜きにしてみれば、
待遇にこそ不満は残るが、武具を持たない今の状態よりは、いくらか安全に暮らせるとも言えた。しばらく一緒に生活し、打ち解けてくれば、おのずと関係も修正されるだろう。
ゆえに、
合流すべき対象が、④班以外に考えられない以上、この条件で飲むしかないと伝えたかったのだ。
妥協に妥協を重ねたような結果だったが、仕方がない。
「……わかった。その場合、まずは何から始めればいいんだ?」
「とりあえずは、そうだな。ある程度まで、楽に寝起きできるように身の回りを整える。飯の心配をしなくていいようになったら、旅の支度をして現地人に会う。めでたく出会えた先の話は、その時にでも考えりゃいいだろう」
「OK。日本への戻り方は、土着の人間に尋ねていく方針なんだな?」
「……は? 何、言ってんだ。そんなのしねえよ。酒と車とのために決まってんだろうが……。おいおい、⑤班。お前らまさか、地球に帰るつもりでいるのかよ?」
およそ、考えうる最悪の返答だろう。
だがしかし、いくらなんでもこれは想定外だ。
フィニアスと別れたという話から、
もちろん、今にして思えば、それらしき兆候がなかったとも言い切れない。
自分たちは警戒を解くのが早すぎたのだ。
つかの間、鳩が豆鉄砲を食ったように、呆けていた
珍しい。
「待てよ、
「う~ん、俺も当分は帰る気ないかな~。お前たちが戻りたいって言うなら、のちのち⑤班が頑張って集めた帰り方を、借りるだけでい~や」
なんと悠長な心構えだろうか。
沈黙。
どっしりとした重たい気配が、
畢竟、それが答えである。
「終わりだな」
今度こそ決着がついたと言いたげに、
「女だけは置いていってもいいぞ。足手まといの世話は、無防備のお前らには荷が重いだろうからな。お前たちも、そのために連れてんだろう?」
「一人増えたくらいじゃ、詰まんね~ままだよ。旦那~」
無論、そんな提案で安心するような
どうにか共存を成立させようと、躍起になる
そんな班員とは対照的に、
なぜならば、
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