第2話佳代の復讐計画

佳代との関係が始まった次の日のこと。

朝目覚めて昨日の出来事を思い出して脳内がピンク色に染まった。

頭を振って身支度を整えると学校へと向かう。

「昨日、佳代と喧嘩になったんだけど数時間で謝ってきてさ。そんなんだったら最初から突っかかってくるなよな〜」

仁吾は取り巻きのクラスメートにスマホの画面を見せながら自慢気に話をしていた。

(佳代…謝ったんだ。やっぱり仁吾と仲良くしたいんだろうな…)

そんなことを感じながら仁吾の話に耳を傾けながら自席で時間が過ぎるのを待っていた。

HRの予鈴が鳴り教師が教室に顔を出すと一日が始まるのであった。


なんでも無い学校生活が終了すると帰路に就く。

本日も友人はバイトらしく足早に教室を出ていった。

下校路を一人で歩いていると突然スマホが震える。

「夜って空いてる?」

連絡を寄越してきた相手は佳代であり僕は少し息を呑んだ。

「空いてるけど…どうしたの?」

簡潔に返事をするとすぐに既読が付いて返事が来る。

「十九時には帰るから。家に来てくれない?昨日の続きしよ?」

「昨日の続きって…?」

「分かってるくせに」

「………了解」

メッセージを終了させるように佳代はスタンプを送ってくるので僕はスマホをポケットにしまった。

急ぎ足で帰宅するとすぐに自室に向かう。

制服をハンガーにかけると脱衣所に向かった。

シャツと下着を脱いで洗濯機に放り込むと風呂場に入っていく。

シャワーで全身の汚れと汗を流すと十九時になるのをリビングで待っていた。

時間が過ぎるのがやけに遅い気がする。

リビングの時計を何度眺めても数分しか経過していない。

心拍数が跳ね上がっているような錯覚を覚えて一度深呼吸をする。

呼吸を整えてソファで横になっていると瞼が重くなってきた気がする。

そのまま眠りの世界に誘われると安らかな眠りにつくのであった。


お腹の上のスマホが連続的に震えて目を覚ます。

画面には佳代の名前が表示されていて時計を確認した。

現在時刻は十九時まで後十分のところだった。

すぐに電話に出ると佳代は嬉しそうに応答した。

「あれ?寝てた?今、エレベーターだから」

「寝てた。すぐ出る」

「うん。家の前にいて」

「了解」

電話を切って家の外に出ると佳代は一人でこちらに歩いてくる。

「今日も両親の帰りは遅いから。気にしないで」

それに頷くと僕らは佳代の家に入っていく。

「部屋にいて」

「わかった」

佳代は一度キッチンに向かうと飲み物だけ持ってきてベッドに腰掛けた。

「早速…良い?」

懇願するような佳代に僕は疑問に思っていることを尋ねる。

「仁吾と仲直りしたんだろ?昨日のは一度の過ちじゃないのか?」

「何言ってるの?私は仁吾を許してないよ」

「何で?佳代から謝ったんじゃないのか?」

「謝ったら仁吾も気が抜けると思ってね」

「仁吾のこと嫌いなの?」

確認事項ではないが復讐を企んでいるような佳代に疑問を覚えて尋ねる。

「嫌いだよ。絶対に許さない」

「何が佳代をそんなに突き動かすんだよ」

「仁吾は鴇を悪く言ったから」

「僕を?仁吾は大体のクラスメートを悪く言うぞ?そんな事気にするなよ」

「ダメ。私の好きな鴇を悪く言うやつは絶対に許さない」

佳代は決意に満ちたような表情で言葉を残すと僕をベッドへと手招く。

僕がそれ以上何も言わないようにの口を塞ぐキスをするとそのままベッドへと押し倒した。

そこから僕らは二度目の関係を持ってしまうのであった。


「佳代は僕のことが好きなの?」

確認するように問いかけると佳代はそれに答える。

「好きだよ。ずっと前から」

正直に答える佳代に少しの疑問を覚える僕は再び問いかける。

「じゃあ何で仁吾と付き合ったんだ?」

「告られたから?」

「何で疑問形なんだよ…」

呆れたように表情を崩すと佳代もくしゃっと笑う。

「仁吾への復讐が済んだら…」

そこまで口にした佳代は首を左右に振って口を閉じた。

「何?ちゃんと言ってよ」

「いつかね。今はまだやめておく」

「そう。じゃあまた今度ね」

それだけ口にすると僕は隣の自宅に戻っていき、もう一度風呂に入ると自室のベッドで眠りにつくのであった。

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