第30話「ただいま」
♢♢♢
皇成を警察に引き渡した後、俺と陽奈は廃ビルの前に出て夕風に当たっていた。
「なんか、久しぶりの再会がこんなのでごめんな」
俺は隣に佇む陽奈に謝る。
「いや、渚沙が謝ることじゃないよ」
中学2年になった陽菜は落ち着いた様子で言った。
「でも俺のせいで巻き込んだ、怖い思いをさせた……」
陽菜にそんな思いをさせてしまった自分が情けなく目を伏せてしまう。
「でも助けてくれた」
「それでもそもそもは……」
「だから大丈夫なのっ!」
俺のせいで、と言いかけたところで陽菜は俺の口の前で人差し指を立ててそれを止めた。
本当に優しい幼なじみを持ったなと思う。
「……あぁ、ありがとな」
そんな幼なじみに感謝を口にする。
すると前に1台のバイクが止まった。
「おーおー、現役高校生は熱々でいいねぇ」
そう言いながらヘルメットを取った声の主は金髪の長い髪をなびかせていた。
「久しぶり、すず姉」
金髪ライダーは大学2年生の幼なじみ、
「なんか揉めてるって聞いたから迎えに来たぞ?」
迎えに来たって言っても3人いるからバイクなら乗れないんだけどな…
それと隣で陽菜が何か言いたそうにうずうずしてる。
「バイクに3人乗れないけどな」
「あ、確かに……押して帰るか」
「それと陽菜高校生じゃない」
あまりにうずうずしてたのでよっぽどの事かと身構えていた俺は吹き出してしまう。
それにつられてすず姉も笑いだした。
「も…もぅ!なんで笑うのー」
陽菜が困ったように眉を寄せてぷりぷりと怒っている。
その姿がまるで子供のようで可愛い。
「まだまだお子ちゃまだな、陽菜」
笑いながらそう言うと陽菜はそっぽを向いた。
「ごめんごめん」
「陽菜ごめんー」
2人で慌てて謝ると陽菜はこっちを向いて「いいから帰るよ」と告げて前に歩き出す。
結局1番大人な対応をした陽菜に俺たちはそのままついて行った。
「あ、そうだ!幼なじみみんなの再会を祝して今日渚沙の家でパーティやるからー」
「え?」
唐突にそんなことを言ってきたすず姉に思わず聞き返してしまう。
「え?何?もしかして嫌だった……?」
「いや、そういうことじゃなくて…急だったから驚いてさ」
むしろ俺もやりたいよ、と付け足した。
「よかったぁ、みんなもう渚沙の家いるから」
ん?今なんて??
「先に用意してくれてるってー」
「……どうやって入ったん?」
合鍵を持たせている幼なじみは居ない、よって誰かがピッキンg…
「渚沙のお父さんに言ったら快く合鍵くれた」
あいつかーーい!!
あ、ちなみに俺と父さんの仲は歳が近いせいかほぼ友達みたいなものだ。
「まぁいっか」
帰ったら幼なじみが待ってるってシュチュエーションも悪くは無い。
帰りを待つ人がいるって大事な事だから。
「さ、着いたよ」
そうこうしているうちにうちの前まで来ていたようだ。
バイクを駐車場に置いてくるすず姉を待つ。
そして戻ってきたすず姉と共にマンションのエントランスを通りエレベーターに乗り込む。
閉のボタンと3の数字を押す。
そしてエレベーターが動き出し少しすると止まった。
扉が開いて俺たち3人はエレベーターを降りる。
そして自分の家の前に立ち鍵を開け扉を開く。
扉を開けた音に反応してドタバタと音を立てて玄関に出迎える。
隣にいるすず姉、陽菜、そして出迎えに来てくれた、
「渚沙!」
陽葵、
「なぎにぃ!」
透織、
「なぎくん」
陽華、
「おかえりなさい」
詠、
「おかえり」
そして、星那。
どんなに辛いことがあったってこの幼なじみたちがいてくれれば俺は生きていける。
これまでの謝罪とこれからはずっと一緒だという意味を込めて告げる。
「あぁ、ただいま———」
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皆さんこんばんは音海亜玖愛です!!
今日は2話投稿にしてみました!
復讐編の第1章はこれで終わりになります。
このまま続けるなら第2章はイチャイチャラブコメ編に入ります!
そこでですがこのまま続けて欲しいという声が少しでもあればこのまま2章もやろうと思ってます。
やるとしても新作書いたりするので少し間は空くかもしれませんけど…
ちなみにX(旧Twitter)で作品のことなど時々呟いたりするのでこちらの方も是非フォローよろしくお願いします
→@akua_kakukaku(音海亜玖愛)
最後になりますがこれからも音海亜玖愛のことをどうか応援のほどよろしくお願いします!!
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