第16話「手料理」

「で、なんでわざわざ転入してきたのか聞かせてもらえる?」


 俺は2人を家の中に招き、机を挟んで向かい合っていた。


 肘をつき指を絡ませその上に顔を乗っけている今の状態はさながら某人気アニメ、エ○ァンゲリオンの碇ゲ○ドウのようだった。


「いや、別に怒ってないんだけど理由を知りたくてさ」


 このままだったら俺が問いつめて怒っているように勘違いされる可能性もあったため予めその可能性を否定しておく。


「この前渚沙に久しぶりに会ったら星那のこと嫌ってた訳じゃないんだって気づいてそれなら一緒の青春を過ごしたいなって…」

「陽華は星那が1人だけだと勘違いされるかもしれないからって誘われた訳なの」

「ちょちょちょ、ストップ陽華!!」


 なにかまずいことを言ったのか星那は陽華の口を抑えようとしてそれを防ごうとしてる陽華で俺の視界が騒がしい。


 そんな二人のいちゃつきを見て俺はわざとらしく咳払いをする。


「俺の前ではそんなイチャイチャするなよ」


 そういうと二人は驚いたように目を見開いてこっちを向いた。


「「イチャついてない(の)し!」」

「いや、仲良しかよ」


 そこまで息ぴったりだと逆に怖いわ。


「まぁ、理由はわかった。でも俺以外の他の男に遊び誘われたりしても絶対行くなよ」


 細かい理由までは言えないため、俺はあえて濁して言う。


「え?それは星那達のこと独占したいってこ…」

「ちがう」

「否定早すぎない!?」


 ちょっとがっかりしてる星那を横目に話を進める。


「とにかく自分の身は自分で守ってくれ、今は俺はお前達を守れない立場にいるからな」

「そうそう、ずっと気になってたんだけどなんか学校でやらかしたの?」

「学校いないからせっかく転入してきても楽しくないの…」


 ここで伝えるのは彼女達を不安にさせてしまうためここではあの話は伏せることにした。


「んー、停学にはなってるっちゃなってるけどそんな大変なことじゃないよ」


 すぐ復学するし、と言って俺は嘘をつく。


「ふーん、あんなに優しい渚沙が停学になるようなことをしでかすとはねぇ…」

「事件の匂いなの」


 なんでお前らはこんな時だけ勘が鋭いんだよ……


「事件とか言うなよやめてくれ」


 バレないように俺は冗談めかして笑って誤魔化した。


 上手く笑えていたかどうかは置いといて誤魔化せたかどうかが重要だがこの二人なら軽く誤魔化せるだろう。


「ま、この話はこのくらいでいっか。2人ともご飯食べてく?」


 一旦この話に区切りをつけて2人が夕飯をうちで食べてくか質問した。


「たべる!!」

「なぎくんの手料理久しぶりなの」


 2人は顔にぱぁっと枯れない美しい花を咲かして喜んだ。


 そうして俺はさっそく後で帰ってくる父の分を合わせた4人分の料理の準備に取り掛かった。


 この日は結局夜遅くまで2人と話していたのだった。




♤♤♤♤




「七瀬渚沙ねぇ……早いとこ処理しちゃった方がいいかもな」

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