シーンの「必要性」の議論。

絵を描くことを考えてみましょう。描くには、デッサン全体のバランスが大切です。


デッサンにおける、かたちの大小関係や全体の構図によって、鑑賞者にとって目立つ箇所が変わるからです。つまり、伝えたいメッセージが、絵の大小関係や構図に現れます。





シーンの集合としてのストーリーを書くこともこれと同じです。


一連のシーンには、強調したいメッセージがあるはずです。それは男性的な力強さや女性的な愛らしさかもしれません。いずれにせよ、シーンを通して伝えたいメッセージ、つまり読者と共有したい感情や想いを言語化しなければなりません。


ところで、メッセージについては、3章で言語化します。


ここで特に強調しておきたいのは、あるシーン一つ、あるいはストーリー全体を通して、どんなメッセージを読者と作者で共有したいのか明瞭にすることが大切だ、ということです。


そうすれば書くべきシーンが見えてきます。逆説的に言えば、書いてはならないシーンも見えてきます。


特に、筆者の自戒を込めて言及しますが、執筆中は、書いてはならないシーンに反応しなくてはなりません。ストーリーの軸がぶれると、読者はストーリーをどのように楽しめばいいか、よくわからなくなります。


「一体、何を読まされているんだろう」


そう思われないためにも、シーンのメッセージ、そしてシーンの連続体としてのストーリーのメッセージ、これらが緩やかに一貫する必要があると筆者は考えています。


また「プロット」と呼ばれる考え方も大切です。


メッセージやプロットがしっかりしていれば、不要なシーンには素早く反応して、これを削除できます。つまり、執筆の際は、書くことよりも書いてはいけないことに注意を向けるほうが大切です。


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続いては、ストーリーの説得力について触れます。

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