1章/いざゆかんゲームの世界へ

その1 めんどくさがり、気まぐれにゲームをはじめる

「......ふぅ」


見ていた攻略サイトを閉じ、一息つく。

あと数分もすれば、気まぐれに応募したら倍率300倍を通過して購入できたゲーム、『レジェンド・グローバル・オンライン』。通称『エルゴー』のサービスが開始してから30分が経つ。このくらいになればログインの密集もなくなって、スムーズにゲームを開始できるだろう。


『楽して楽しみたい』


VRMMOが現在のゲームの主流となった昨今、オートプレイやスキップ機能などは廃れ、ゲームは「手軽にできるもの」から「時間と手間暇をかけてやるもの」に変化していった。

今やゲーム体験は現実の体験に勝るとも劣らないと言われる時代。そんな時代はめんどくさがりにはキツイ。だって手間暇とか一番身近に置いちゃいけないことだし。

だが勘違いしないでほしい。俺も努力ぐらいはするし、苦労も買って出る人間だ。ただし先の見える苦労はだが。だって先の見えない苦労には終わりがどころがないから途中でダレるのだ。


そんなこんなで今日からプレイするゲームもテキトーに苦労を避けつつやっていく予定。


そう心に決めつつ、主流のヘッドマウント型ではなく、寝ながらプレイできるカプセルベッド型のVR筐体に寝そべり、電源を入れてVRの世界に入る。

なお、ヘッドマウント型とカプセルベッド型は値段に5倍くらいの差があるが、寝心地という1点でバイトを頑張って購入した。



さて、VRの世界に入ったらプレイするゲームの選択。設定によってはゲームアイコンのオブジェクトに触れて起動するタイプや、部屋に入って起動するタイプ。変わったやつだとゲームアイコンを撃ってゲームを起動する奴がある。

自分は当然初期設定のアイコンが目の前にパネルとして投影され、触れると起動するタイプ。動きたくないし余計なことをしたくないのでこの選択だ。


俺はLGOのパネルに触れてゲームを起動し、スムーズにキャラクリエイトに入る。話では他のゲームだとピーク時のログインは30分待ちなんてこともあったが、30分も待ったしスムーズに入ることができた。



ログインすると早速キャラクリが始まり、目の前には


【プレイヤーネームを記入してください】


というメッセージが表示された。

まず、このゲームのキャラクリは①プレイヤーネーム決定 ②ビジュアル決定 ③ジョブ決定の3段階で完結する。よくある面倒なスキル決定はなく、最初にもらえるスキルはジョブ別で設定されているものだったり初期装備についているものだったりするので、選ぶことはない。


プレイヤーネームは無難に本名の「由良坂 仁之助ゆらさか じんのすけ」からとって「ジン」。


ビジュアルに関しては、性別体型はリアル準拠オンリーで弄れるのは目や髪の色くらい。ネカマはできないし、男性で女性に近いキャラクターを作っても、ステータスで公開されている性別ですぐにバレるようになっている(逆もまたしかり)。なので髪色を水色、目を灰色にして他の細かいのは弄らない。


ジョブは【テイマー】。さっき見てた攻略サイトでは酷評されていたが、俺は動きたくないし楽して敵を倒したい。しかし誰かとパーティを組むとなれば寄生行為になるのでそれはNG。

だからテイマーになって戦闘はテイムモンスターに任せ、自分は優雅にのんびり適宜魔法で攻撃してればいい。


そんなこんなでキャラクリ時点での最終的なステータスがこちら。


―――――――――――――――――――――――――

ネーム:ジン

ジョブ:テイマー

レベル:1

性別:男

体力:30/30

魔力:30/30

攻撃: 7

防御:10

魔攻:10

魔防:10

器用:10

速度: 7


ジョブスキル:2

【テイム】【コール】


マイスキル:0


ギアスキル:0


―――――――――――――――――――――――――


ステータスの基礎値は体力と魔力が20、他は10となっているが、テイマーは体力と魔力にプラス補正、攻撃と速度にマイナス補正がついており、補正値は倍率でプラス補正が1.5倍マイナス補正が0.7倍なのでこの値に落ち着いている。

レベルが上がればその分この値は上がっていくし、スキルの中にはステータスにプラスを入れてくれるものもあるし装備でも上がる。


スキルに関しては、

それぞれのジョブが固有で持つ【ジョブスキル】

プレイヤーが固有で獲得した【マイスキル】

着けている装備についている【ギアスキル】

の3種類があり、今はジョブスキルだけが2つある状態になっている。



さて、ステータスとビジュアルの確認も終わったことだ。

チュートリアルから始めていこう。

それではいざゆかんゲームの世界へってな。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る