第8話

「ねえ、律くん。さっきの瞬間移動、あれが律くんの能力?」

「…………そうだ」


 能力の事言及されるの嫌だな。面倒。

 俺は戻った後の面倒事が嫌で家に帰ろうとしたら高坂がついてきた。お前授業あるだろと言ったが、いいのって返ってきた。いや、邪魔なんだよ。

 

「でも助けてくれた時、氷使ってたよね? あれは?」

「教えない」

「教えてよー!」


 うざい。とてもうざい。

 テレポートで帰りたいが、あれ結構体力使うから嫌なんだよな。かといってこのまま高坂の質問攻めは嫌だ。

 それに、ダンジョン攻略の事頼まれたし……。息抜きダンジョンさえできやしない。

 考えていたら高坂に腕を掴まれた。


「お、し、え、て!」

「嫌だし、もう帰らせろ」

「お父さんに律くんの個人情報ばらまくように言うよ?」

「おっまえ……最低」


 最低すぎる。我儘に付き合うしかないってのか……はぁ。


「分かった。その前にダンジョンに行かせて。気分転換がしたい」

「それならいいよ! 秋ちゃんも準備するからダンジョン前で集合ね!」


 ちゃんと待っててね! そう付け加えて高坂は去って行った。はぁ。まぁ、向こうの時みたいに仲間と攻略するって考えた方がいいかも……はぁ……あいつに会いたい……。

 家に帰って青いマントを羽織る。鏡で自分の姿を見る。銀髪の髪に薄い青の目。異世界に行く前は珍しさで異質にとられていたけど今は能力の影響なのかで変わった色の見た目で生まれてるらしいから俺の見た目は特に気にされてない。

 異世界では普通だった。異世界に馴染んでた……ともいう。

 向こうは本当によくある中世的な世界だった。モンスターいるし、エルフいるしで。凄かった。

 最初困惑したけど、段々楽しくなった。仲間も出来たし……帰るのが名残惜しかった。

 救世主。向こうではこう呼ばれてた。魔王がいたからそれを仲間と倒したら救世主と。群がられるの面倒だった。

 女神とやらに連れてこられた時は何事かと思ったけど、まぁ帰してくれたし楽しかったし、何とも思ってない。

 能力が何でも器用に出来る。とどこでもアイテムボックス、ステータス確認。で苦労した部分はあったけどあれでよかった部分はある。魔法とか剣術とか弓とか扱えたから。

 でも一言申し入れたい。なんで50年後の世界に帰らせたのか。多分俺が苦労しないようにとかなんだろうけど、大変だったんだよ。

 おかげで面倒な事ばっかり増えたし、ムカつく。


「……気にしても仕方ないとしても、なぁ」


 ため息を吐いてから家から出た。目指すは白楽ダンジョン。超最高難易度ダンジョンらしいけど、魔王城と魔王に比べたら別にそんなに強くない……。

 正直呆れはするけど怪我をせずに済むなら別にいいかなとダンジョンを楽しんでる。

 他のダンジョンはテレポートで行って、攻略した。そんなに長い時間がかからなかったし、何よりアイテムボックスに食料とかテント入れてたら生活出来るから行き来せずに済んだ。

 能力様様。チートなんだろうけど、よく見る異世界転生物だとかすんでる気がする。俺に合ってるからいいけど。

 そうだ、あとで高坂のステータス確認しておこう。白楽ダンジョンの攻略レベルは75だったから75レベル超えていてほしい。俺は99でカンストしてる。異世界で培ってきた賜物。


「あ、律くーん!」


 考えてる間にダンジョン前についた。ステータス見られたくないからダンジョン内で見るか。

 さて気晴らししよ。

 俺達はダンジョンに潜った。

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