第4話

「……さん?! 向こうの音を聞いちゃだめ」

 いろんな音や声を、全身で聞いてしまうような、耳だけじゃなくて体も音の振動を感じていきそうな、それははじめの瞬間だけで、あとは、先生が私の耳を塞いでくれた。

 振動だけはどうしようもなかったけど、先生の手が塞いだ瞬間、色んな感情が入りまじる声は聞こえなくなっていた。

 聞いちゃだめと言われて、なぜか目を瞑ってしまう。

 すると、足の金縛りがとけていた。


 私は目を瞑ったまま、

「先生のおかげで、なぜだかわからないけど、動けそうです……」

 と言った。


「友達が言っていたのを思い出したの。視えてしまうのは仕方ないけど、視覚以外の感覚までそれをとらえないようにしてるって」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る