第21話 接点

 ここだ。ここの扉を開けてしまって、過去に来てしまったんだ。愚かな好奇心のせいで。


ほんと、呆れるよ。自分に。


所長に呼ばれて来たものの、何をすればいいんだ?


【はるとくん、みさきさんだったか?何か特別なこと知らないか?例えば、みさきさんが必ずここに来て寄る場所やいつもやってるルーティンなど】


みさきさんのことは、ほとんど知らなくて、


【あまり、接点がなくて。みさきさんとさきさんが友達ってことくらいで】


所長は悩んで、


【さきを呼ぼう。何か解るかも知れない。おーい、さき、ちょっと来てくれ!】


【何ですか?所長】


【友達のみさきさんのこと教えてくれ?いずれこの研究所に入社するだろうから。はるとくん帰すためにどうしても必要なんだ】


さきさんは、悩んで、沈黙が続いて、


【あの、ここの話をして興味を持っていたことはあります。この研究所で分析してる機器、ちょっと機械オタク的なとこあって】


所長は、ポンッ!と手を叩いて、


【それだ!さき、早急にみさきさんを連れてきてくれ!はるとくんは会わないように、休憩室で待機。もし、上手く行けば…みさきさんの興味ある機器、情報入ってないもの、状況により渡してあげて】


よく解らないけど、休憩室ね。了解しました。


………………………みさき到着………………………


【何?さき、急に。早退すると皆勤手当つかないのに…ランチ5-6回分奢ってよね!】


【ごめん、みさき。所長に奢らせる。それよりもこの機器興味あったよね?一式あげるから今日は付き合って】


【マジ!それ撤回しないでよ。欲しかったんだよね。ここの機種。帰りにさっそく接続用PC買ってこ!】


所長が、


【みさきさんだね。この機器を使えるとは、是非うちに来てほしい。どうだろうか?給与は今のとこより必ず上回るようにする】


【あっ、はい!嬉しいです。ここの研究前から興味あって。さきから聞く程度でしたが】


【ありがとう!それと、お願いがあるんだ。このメモに書いてある内容をよーく読んで覚えておいてくれないか?ここの研究所に関することだ】


みさきさんは、キョトンとして、手に取り、


【10年前に戻る時は必ず開かずの扉から?これを読んでどうするんですか?】


【大事なんだ。暗示のように覚え続けてほしい】


【はい、では持ち帰って覚えておきます】


………………………数分後………………………


【はるとくん、出てきてくれ】


【はい、何とかなりそうですか?】


【この開かずの扉の前で待機していてくれ。ここの研究所の人以外誰とも会うなよ】


ただ待つのか〜退屈だな。


………さきさんの弟のこと、どうしたら………


 んー、未来を変えるなって言うけど、こればかりは、何としても伝えないと後悔しそうだ。


ん、扉が少し動いたような…気のせいかな?


ポルターガイスト!怖っ!





















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