「犬を飼いたい」と言ったら、世話焼き幼馴染が犬の鳴き真似をして甘えてくるようになった

軽井広💞クールな女神様 漫画①3/12

第1話 あなたのために「ワン!」と鳴く

(扉が開く音 足音が近づいてくる)


「おかえりなさい。ずいぶん遅かったじゃない? 幼馴染のわたしをほったらかして、どこに寄り道してたわけ?」


「まあ、いいけど。今日も一緒に夜ご飯食べるんでしょ?」


(扉が閉まる音)


「ふふっ……寒かったんだ?」


(コートを預かる。衣擦れの音)


「体震えてる……おつかれさま」


(手を触る)


「手も冷たい……早く温まらないとね。もしかして、ずっと外にいた?」


「え? クラスの片瀬さんと一緒にいたの? 片瀬さんって、女の子……だよね? なんで?」


「へえ……たまたま道で出会ったの……ふーん」


「わたし以外の女の子と、二人きりでいたんだ……」


「まあ、いいわ。とりあえず」


(二人でリビングへと歩く音)


「温かいお茶を淹れるから、ちょっと待ってて」


(湯沸かしとお茶を注ぐ音)


「はいっ! 温まってね」


(お茶を飲む)


「お菓子もあるから一緒に食べよ」


(隣に座る)


「このクッキー美味しいんだよね……」


(食べ物を食べる音)


「美味しい? 良かった。ふふっ」


「えーと、それで片瀬さんと何してたの?」


「まだその話をするのかって? わたしは、ごまかされないんだからね?」


「片瀬さんとそんなに仲良くなかったよね? 実は仲良しだったとか? あなたが他の女子と一緒にいるのを見ると、不安になっちゃう」


「……」(不安そうな感じの吐息)


「本当に偶然、会っただけなんだよね?」


「……へえ、片瀬さんの飼ってる犬と遊んでたんだ? すごく可愛かった? そっか」


「うちでも犬を飼いたい? ダメだよ。うちもあなたの家もマンションだからペットは禁止でしょ?」


「あっ、でも……そういえば、昔、あなたの家でハムスターを飼っていたっけ」


「可愛かったなあ」


「まあ、ハムスターなら大丈夫だけど、犬はNGだと思うから」


「どうしても飼いたいなら引っ越さないとね。でも、わたしはあなたと隣同士のままがいいな」


「うーん……」


「可愛い幼馴染がいるんだから、犬の代わりにならない? うん、ならないよね……」


「じゃあ、わたしが犬の真似をしてあげる!」


「どう? 悪くないアイデアでしょ?」


「これであなたも犬がいなくても大丈夫!」


「今日はわたしが犬の真似をする日ってことで!」


「……やっぱり、へ、変かな……」


「え? 嬉しい? 嬉しいよね? ふふっ」


「じゃあ、えっと何からしてあげよっかな」


「犬っぽいことだよね……」


「意外と思いつかないなあ……うーん、えっと、えっと」


「ワン! ワン! ワン!」


「犬の鳴き真似なんだけど……どうかしら?」


「ちょっと単純すぎるよね……もうちょっと考えてみる」


(耳元で)


「クーン、キャンっ! クーン、キャンっ、キャンっ!」


「ど、どう? すごく恥ずかしいんだけど……でも、あなたのためだから頑張るね」



 

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