第2話 とりあえず、続きのプロットくらいなら、書いても……なんて思ってたらポイントが5ケタにっっ!?



 この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは、ほぼほぼ関係ありませんので、まあ、あんまり深くは気にしないで下さい。


 あと、この作品は『小説家になろう』において、「バインボインたわわん」というPNで、相生蒼尉が書いたものに加筆・修正をしたものです(残念ながら盗作ではありませんので……)。


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 2020年12月8日、再び「バカ」が口癖の読専の知人からメッセージが届いた。


 クリックして開くと『おい! 週間見ろ、バカ! てめー、これで続き書かないとかぬかすなよ?』って、また「バカ」扱いとは相変わらずひどい。


 でも、言われたからには『小説家になったろう』でランキングを確認。


 ……異世界転生転移ファンタジージャンル、日間で22位、週間で32位……週間で32位だと!? いや、それに日間でも22位とか……それ、マ?


 そんな馬鹿なと思いつつ、アクセス解析を開いてアクセス数を確認してみる。


 日別のアクセスで、前回、「バカ」の知人から連絡があった12/4は47,820アクセスだった。


 それで、12/5が49,570アクセス、12/6が55,463アクセス、12/7が52,826アクセスと、かなり読んでもらえている感じなのだ。


 まさに伝説で幻なのかと思っていた完結ブースト状態。続きは更新されていないのに、アクセスは多い。不思議だ。


 それ以前を確認すると、12/2からは4万オーバーのアクセスだが、12/1は23,508アクセスで、11/30は8,724アクセスだ。8000と、50000だ。文字通り、ケタが、違う。


 今、かつてないほどに、おれが書いた作品が読まれているのは間違いない。そう、間違いないのだ。


 そのことに作者として興奮しないはずがない。自分自身の承認欲求が満たされていくのが分かる。


 思わずスケジュールカレンダーを確認する。年末進行の仕事は山積みで、そう簡単には時間を作れそうにない。当たり前だ。


「週末だったら時間がとれなくもないけど、それくらいの時間で『ボインの伝説』の続きを執筆できるかっていうと、それはちょっと難しいような……」


 おれはごくごくフツーのサラリーマンだ。

 だからフツーに仕事があって、あくまでもネット小説なんてものは趣味で書いてて……仕事が忙しくて時間がないのに、そこまでのことがおれにできるのか?


 おれは苦悩する。書きたい気持ちは、ある。それはそうだ。趣味、ということは好きなことなのだから。


 それと同時に、趣味だからこそ、そこに割ける時間にも限界があるのだ。


 でも。


 でも……。


 ……ネットの向こうにいるたくさんの読者のみなさんが☆をクリックしてくれるポイントが、苦悩するおれの背中を後押ししてくる。


「……年末年始の休暇でどこまでやれるかにかかってるな」


 まともに休暇があるのは年末年始だけだ。確かに時間はない。執筆なんて、仕事と並行してできることでもない。

 そんな能力があるのなら、おそらくとっくに書籍化して仕事を辞めているに違いない。


 でも、ここまで読者のみなさんに応援してもらって、中途半端な完結状態での放置は、たとえ趣味で書いてるとはいえ読みたいと思ってくれてる人への裏切りになる。


「週末で……いや、時間を見つけてプロットを……」


 とりあえず、まずは。


「そうだな、とりあえず、プロットが書けるかどうか。プロットができたら、それから考えようか」


 おれは『ボインの伝説』の続きについては、とりあえずプロットを立てることだけは決めたのだった。


 その気持ちがすぐに変化するとも知らずに……。






 そこからの仕事は、年末にふさわしく、極めて忙しく、まさに寸暇を惜しむ状態。


 行き帰りの通勤電車の中で、タブレットのメール機能を使って、プロットを立ててはフリーメールに送信して、『ボインの伝説』の最終章となる第4章を構成していく。


 そんな状態で、本当に続きが書けるのかどうか。プロットと本文は違うものだ。


 おれには自信がなかった。


 しかし……。


 運命の2020年12月19日。


「……うそ、だろ? マジ、か? ポイントが5ケタ、いってんじゃねーか」


 作品名『ボインの伝説 ~遊んだことがあるゲームの世界に転生したらとにかくおっぱいの大きなボインちゃんだったんだけどさ、ストーリーとかはあんまりよく覚えてないんだよね。こういう時って、いったいどうしたらいいと思う?~』がついに10000ポイントを超えたのだ。


「は、初めて、5ケタポイント……いや、ボインと……」


 もう、書けないとか、言いたくはなかった。


 ポイントが5ケタ。ネット小説プラットホームでは最大とされている『小説家になったろう』において、10000ポイント以上というのは全作品の上位1%だと言われている。


 身震いするほどの嬉しさに気分が高揚していた。


 そう。


 ポイントはおれに。


 勇気をくれたんだ。


「……実家に帰るって言えば、少しは休暇、もらえるよな? 今抱えてる案件はサービス残業で押し切れば、23日には終わるか? 24日からは書ける? いや。もう、立てたプロットを頭から書きつつ、最後までプロットを並行して組むか」


 そして、ポイントに後押しされたおれは、動き始める。





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