俺とミライに結末を。

あすペン

プロローグ

 俺には生まれつき、特殊能力があった。

 これだけを聞けば、ただの厨二病に聞こえるだろうが違う。

 ほんとにあるのだ。

 その能力とは、接触した生命の未来を見ることができる能力だ。

 生命なら人間や、猫犬みたいな動物も、植物だって関係なく見ることができる。

 未来と言っても、1分後から20秒だったり、1年間といったばらつきがある。

 見え方は映画のフィルムみたいに脳に浮かび上がるのだ。

 能力は使う度に強い吐き気と目眩を起こす。

 未来はその人が歩む道の先で、人にはその歩幅にあった現状処理能力に限りがある。

 それは俺も同じで、俺は俺の歩む未来の歩幅があり、能力は無理やり他人の歩幅を足され倍の速度で処理しなければいけない。

 それは、10秒に10回しか縫えないミシンにスペックを変えずに10秒で20回縫うよう指示することと同じだ。

 こんな不便な能力のせいで、まともに人接触などできずにいた。

 だから俺は、引きこもるようになった。

 自分を守るために。

 だが、この能力には大きな欠点、発動を防ぐ抜け道があった。

 それは、俺の手に手袋つけ直接相手に接触を防ぐ方法だった。

 これは俺の手を隠すものならなんでも良い。

 能力は俺の指を通じて脳に働いてらしく、指と相手の間に何かしら(相手の服は関係ない)の障害があれば能力を発動しない。

 この発見は、俺を外へと連れ出した。

 人との接触を避けるために引きこもった俺を、高校まで連れてきてくれたのは間違いなくこれのおかげだ。

 俺は俺の能力についての研究がしたくて勉強に力を入れていた。

 そして高校2年の夏、俺は夏休み2日前の学校の図書室で3年ぶりに人の未来を見てしまった。

 沖前おきまえミライの1ヶ月分の未来を。

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