【第一章 異世界入門編】-11話- 訃報

その日は雨が降っていた……。


上泉「……雨か……」

 

 俺がこの世界に来て2月と少しすぎたあたり、旅の準備も進みもう少しで準備が整うとなったある日の朝のこと。

 

 上泉「流石にこんな日に依頼を受ける気にはならんな、毎日の仕事で生活に余裕も出てきたし、今日は室内での魔力制御の練習だけやって休むか……」

 

 そう思い、寝具から体を起こす、最近の鍛錬のおかげかもとの世界であった寝起きのだるさなんかは怒らなくなり、お腹も少し出ていたが今では見る影もなくなり、しっかりと運動している人の身体になってきていた。

 

 上泉「腹筋も少し割れてきてるし、いい感じかな。」

 

 自分の身体を見て、この二カ月ぐらいを振り返る、これもこの世界での戦い方を教えてくれたハリィさんとアリシアさんのおかげだな……。

 

 上泉「そういえば、ハーベストツリーね飛竜討伐って数日前から行ってるんだっけ、まだ街であの人たち見かけないからまだ討伐は終えてないってことか……」

 

 飛竜がいるって言われてる山岳地帯までは大体半日ってところだろう、往復で1日、それで飛竜の討伐をする時間をかんがえるとそろそろ帰ってきてもいいと思うんだが……

 

 上泉「……まあ、流石に考えすぎだよな……」

 

 そう考えて、自身の鍛錬に入るのだった。




 

 雨が上がった次の日、俺は冒険者ギルドにおとずれていた。

 

 上泉「……ん?」

 

 ギルドに入るやいなやいつもよりギルド内は慌ただしかった。

 ていうか職員が走り回ってるのか?

 ……ルビィさんに聞いてみるか、幸い受付はいつも通り営業してるっぽいしな。


 上泉「ルビィさん、おはようございます、なんかギルド内がバタバタしてますけど何かあったんですか?」

 受付嬢ルビィ「あ、上泉さん!ちょうどいいところに!これから少し時間大丈夫でしょうか?」

 上泉「これからですか、ええ、いいですけど……?」

 受付嬢ルビィ「よかった、それじゃあ第一会議室にいってもらってもいいでしょうか、そこでギルドマスターが説明してくれますので!」

 上泉「え、えぇ、わかりました……」

 

 ん〜、なんだろう、なんか嫌な予感がするんだよな、ルビィさんもちょっと顔色悪いし……

 まあ会議室で説明してくれるっていうなら行ってみればわかるかな……



 会議室の中には俺の他にもランク4、5あたりの冒険者が何人かいた。

 4、5あたりのランクの冒険者はこの街の冒険者じゃあトップだよな、俺はこの間ランク3に上がったばっかだからこの人たちよりかはランクげ下になるんだけど……

 空いてる席についておくか。

 少ししてギルドマスターが入ってきた、それと一緒に入ってきたのはアリシアさんだった。

 アリシアさんがギルドマスターと一緒にか、もしかして飛竜討伐で何かあったのか?

 いつ帰ってきたのかはわからないがアリシアさんの表情は暗い。




 そこからギルドマスターが説明したことは予想通りハーベストツリーが受けた飛竜討伐、その結末だった。


 冒険者A「飛竜が進化して上位種になって、ハーベストツリーが全滅って、マジかよ……」

 ギルドマスター「全滅じゃない、アリシアが生き延びて情報を持ち帰ってくれた、間違えるんじゃない!」

 冒険者「す、すみません!」

 アリシア「…………」


 なるほどね、進化して手に負えなかったってことか、飛竜は空を飛んでるようだし逃げるにしても追いつかれるだろうし……いや、あの人たちのことだからその進化態飛竜を街の方に近づけない様に立ち回った可能性があるな、アリシアだけ逃して。

 ……だとするとアリシアもやるせないな……。


 冒険者B「それでギルドマスターはうちらを集めてどうするつもりだ?もしかしてその飛竜の討伐を依頼するんじゃないよな?」

 ギルドマスター「そのまさかだな、ここにいるのはこのギルドのでも高いランクの冒険者だ、このメンバーに俺も加わって飛竜の討伐に行く。」

 冒険者C「な!冗談じゃねぇ!?あのパーティを壊滅させた飛竜の上位種の討伐なんて無理に決まってるだろう!そんな話のれねぇよ‼︎」

 冒険者B「そうだぜ、そんな話なら俺たちは出て行かせてもらうからな‼︎」

 ギルドマスター「な!おい待てお前たち‼︎」

 

 他の冒険者達はそう言ってぞろぞろと部屋を出て行った、残ったのは俺とギルドマスター、アリシアだけだ……。

 まあわからんでもないけど……。

 

 上泉「ギルドマスター一つ質問なんですけど他所の高ランク冒険者に救援依頼とか出来ないんですか?」

 ギルドマスター「飛竜はハーベストツリーの連中を殺してる、飛竜はもともと人が寄りつかない地域に住んでるから人に対して率先して襲ってこんが一度人の血を覚えた飛竜は頻繁に人を襲う、最悪の場合だと街が襲われたこともあるからな、悠長なことは言ってられん、一応救援は出したがうちのギルドでやるしかなクなるかもしれんということだ。」

 

 なるほど、そうゆうことか……

 

 アリシア「……やっぱり私1人で行きます。」

 ギルドマスター「バカを言うな、飛竜の上位種だぞ、ひとりでどうにかなるわけがなかろう‼︎」

 アリシア「でも、飛竜が人を襲うかも知れなくなったのは私たちの責任なんでしょう‼︎私がどうにかしなきゃあいけないことよ‼︎」

 ギルドマスター「ええい‼︎だからと言ってだな‼︎」


 アリシアが1人で行こうとしていてギルドマスターだなんとか止めようとしてるけどアリシアも自暴自棄になってそうだなあれは……

 俺自身今の力でその強くなった飛竜相手にどこまで出来るかわからないけど……


 上泉「ギルドマスター、俺が行きますよ。」

 ギルドマスター「な、何?いやしかしそうか、しかしここにいる3人だけでは流石に……」

 上泉「あぁ、いえ俺1人で行きますよ、多分大丈夫だと思うんで。」

 ギルドマスター「……何?」


 そういって席を立って歩き出す、それでアリシアの隣を通り過ぎる際に

 

 上泉「アリシアさんはここでギルマスとまってて下さいよ、その飛竜が俺がハーベストツリーのみんなの代わりに討伐してくるんで。」

 ギルドマスター「な、おい待て上泉!ほんとに大丈夫なのか」

 上泉「大丈夫ですよ、これでも異世界人なんでね、異世界人の特性知ってるでしょ、死ぬことはないと思うし討伐できなかったら街とは違う方向に逃げるんで!」


 そう言って俺は飛竜のいるであろう山岳地帯に向けて行くのだった。

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