男の正体

 男は、

 空からりてくる 天からつかわされて。


 男は、

 地にちた 生命を すくいに ちてくる。


 男は、

 地に降り立つ 生命を 見送りに

 空と 地の 間で

 行く先を、見届ける。


 男は、

 その身に 抱えきれない程の孤独を

 背負うこともできず

 飲み込むこともできず

 ただ 孤独の中で

 生命を 見つめ続けている。


 通り過ぎていった 喜びと

 拾い集めた 哀しみと

 理不尽に 投げ付けられる 幾人もの やり場のない 怒り

 全てを 受け止めるには 

 ひとりでは 耐えられない。


 でも、

 男は、ひとりでいる。


 本来なら、

 男の背中には 柔らかで大きな羽根が生え、

 男の頭上には まばゆい光の輪が掲げれているのだが。




光に触れるは 許されない。


哀しみの夜に ただひとり





赦されない…… 男













 堕ちた天使は、

 黒いコートをまとって

 そこに たたずんでいた。








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