第25話 リクエスト




 なんとか焦げる前に焼きポピンを回収。甘い匂いが周囲に漂い、ヴォルとスイが目を輝かせている。


「熱いからな、気を付けなさいよ」


「フィ!」


「わうっ!」


 ナイフで半分に切り分け、よく洗った石を簡易的な皿にして二人の前に差し出す。湯気がたちのぼり、じゅわっと甘い液が垂れている。


『この時間帯に焼きリンゴ、ほぼ暴力に等しいわ……』


「それは俺もそう思う」


 ヴォルたちが美味しそうに食べているから尚更そう感じる。


『あ、そうだった。ドーンくん、リクエストがあったのよ』


「リクエスト?」


『動画の方に、今のスキルとステータスを教えてほしいっていうコメントがあったの』


「あー、じゃあ見るか」


******


プレイヤー名 : ドーン Lv.4


HP : 300 MP : 125


STR:22 DEX:17 AGI:17

INT:17 VIT:17 LUK:10


鑑定 隠密 魔法基礎 解体 罠設置

投擲 気配察知 木工 石工 剣

短剣 盾 格闘 革細工 調教 調薬


残りSP16 残りLP0


******


【鑑定】:Lv3

【隠密】:Lv3

【魔法基礎】:Lv4

【解体】:Lv3

【罠設置】:Lv3

【投擲】:Lv3

【気配察知】:Lv4

【木工】:Lv3

【石工】:Lv3

【剣】:Lv2

【短剣】:Lv3

【盾】:Lv2

【格闘】:Lv2

【革細工】:Lv2

【調教】:Lv2

【調薬】:Lv1


 それぞれのスキルレベルがこんな感じ。最初のうちに取ったスキルはレベルが満遍なく上がっており、その他も、修行での使用頻度によって差異はあるが着々と上がっている。


「こんな感じかな?」


『《アクション》もお願いします』


 アクションとはスキルのレベルが上がる際に習得できる技の事だ。【魔法基礎】を獲得した際に習得した種火や清水の魔法がその例となる。


「えっと……


【隠密】のアクションは【小音足】

【魔法基礎】は【種火】【清水】あとはレベル3の時に手に入れた【そよ風】とさっきの【土流】

【剣】が【突進】で【短剣】は【刺突】

【盾】のアクションが【パリィ】

最後に【格闘】の【クリティカル】


……かな」


『ありがとう。これを次回の動画のエンディングの方で流そうかと思ってるの』


「なるほどり」


『普段よく使うアクションは何かしら』


「えっと、基本全部使うけど【小音足】と魔法基礎の【清水】と【種火】。あとは格闘の【クリティカル急所攻撃】かな。クリティカルは思ってた倍強い」


 格闘を取ったのは肉弾戦を想定したわけではなく、師匠に身のこなしが良くなると勧められたからだ。


 身体能力に若干のバフがかかるのか、パルクールのように森を移動できるようになってからは、師匠の後ろを難なくついて行けるようになった。


『【クリティカル】のどこに魅力を感じたのかしら』


「あー、うわ、言葉で説明するの難しいな」


 格闘のレベルが2に上がった時に習得する事が出来たこの【クリティカル】。


 最初は攻撃力にボーナスがかかっても、拳じゃダメージが通らないだろなんて思ってたのにところがどっこい。


 【クリティカル】は剣を装備した状態でも使用する事が出来たのだ。


「【クリティカル】は装備無しで使えるアクションだから他に武器を装備していても使えて、逆に剣アクションの【突進】は剣を装備してないと使えないから〜、みたいな。説明が難しいな……」


『【クリティカル】が強いと感じたのは、素手だけでなく、他の装備にも攻撃力のボーナスが付く事に気がついたから……ということね』


「うん、そゆこと」


 自分自身、テキストを読んで気付いたと言うより、実戦で気付いた事だから言語化が難しかった。


 これから配信もしていくわけだから、ちゃんと言葉で説明出来るように、語彙も身につけていかなくちゃ。


「あれ、今何時?」


『もうすぐで22時ね』


「んじゃ、終わっときますか」


『ええ、また明日』


「おやすみ」

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