It’s Short Short Story Time

哉子

いい大人たちが子どもに戻った日記

 今日はおともだちと遊びにいきました。


 むっちゃ暑いので、図書館で本を読みながらダラーっと涼んでいたら、おともだちが


「くっそあちぃけど、海にいかねぇか」


 と、めちゃくちゃ悪い笑顔でいいました。


「は?海?」


 と、わたしは、イヤそうに答えました。


 わたしは、夏の人の多い海が、大嫌いだからです。


 でも、おともだちの悪い笑顔がなんとなく気になったので、いくことにしました。


 2台の車をブーンと走らせて、人がぜんぜんいない海につきました。


 おともだちに聞いたら、自分で見つけた隠れスポットなんだそうです。


 車をおりて、砂浜をよいしょ、よいしょと歩きました。


 おともだちに、


「どんくせぇな~!」


 と言われましたが、気にしてる余裕もありません。


 おともだちはクロッ〇ス(のパチモン)なのでスイスイあるけますが、わたしはふつうのサンダルだったので、砂に足がうまりながら、一生懸命あるきます。


 砂浜がすこしずつせまくなっていって、テトラポットのあいだから、少しだけ波が来るところに着きました。


 一生懸命あるいてるあいだに、おともだちが貝殻をひろっていて、わたしにプレゼントしてくれたので、うれしくなりました。


 とても暑いので、サンダルを脱いで、波がくるところに入ったら、つめたくて気持ちよかったです。


 気持ちいいなぁと思いながらボーッと、おともだちの方をむいたら、悪い笑顔が、さらに悪い笑顔になってました。


 と、思ったら、


 いきなり服をぬぎだして、パンツ一丁になってキリッとしたかと思ったら、海に向かって走っていきました。


「おまえーーー!なにやってんねーーーん!パンイチでなにしとんじゃーーーい!」


 わたしは、おもわずさけんでしまいました。


「おめぇも来いって~!気持ちいいぞ~!」


 いや、なにコイツ、マジかよっておもいました。


 もちろん、図書館に行くだけのつもりだったので、水着なんてもっていません。


「いかねぇってーー!はよ戻ってこいやぁーー!!」


「だれもいねーよ~!誰も見てねーからよ~!来いって~!」


 おともだちは、気持ちよさそうに泳ぎ出していました。


 もう、暑さで頭がおかしくなってきていたわたしは、だんだんおともだちの様子が、うらやましくなってきました。


 なんとなく決心して、パンツとノースリーブになって、海に入っていきました。


 わたしはどんくさいので、少しずつすすみますが、腰まできたあたりで、冷たくてビビりました。


「むりむりむりむりむりってぇぇぇ」


「大丈夫~、1回浸かったら気持ちよくなるぞー」


 おともだちがそう言うので、ゆっくりゆっくり、肩まで海に浸かったら、冷たさが気持ちよくなってきました。


「おー…いいかんじに冷たいな…涼しい…」


 再びボーッとしだしたら、


「そーれ、手ぇ出せーい」


 と、おともだちが、わたしの手をつかみました。


 チビのわたし(151cm)が浅瀬で止まっていたら、デカいおともだち(183cm)がわたしの腕をつかんで、更に深いところまで行きました。


「ちょ、ま、足がつかねぇんよ!」


「大丈夫~、上向いて浮かんどけ~。俺につかまれとけ~」


 おともだちが、わたしのうしろに来て腕をつかんで、わたしを波に乗せて、ゆっくりぐるぐる動きだしました。


 その様子はまるで、こどもと遊んでるおとうさんみたいでした。


 びっくりしたけど、だんだん波に浮かんでるのが気持ちよくなってきました。


 ふわふわして、ゆったり揺られて、ゆりかごみたいだなって思いました。


 そしたら、なんだか、ねむくなってきました。


「ねー…なんか、ねむくなってきた…」


「そうだな、気持ちよかろう~」


「うん、きもちいいな~」


 おともだちは、わたしを浮かせてぐるぐるするのを止めません。


「いやー…まじで…寝ていい…?」


「いいけど、顔に波がビシャっといくぞ?」


「それはやだな~」


 ねむけをふりはらって、今度は平泳ぎをしました。


 実は、小さいころに水泳をやっていたわたしは、泳ぎがとくいなのです。


 スイスイ泳いでいたら、おともだちが、


「意外と早いな…」


 おもしろそうに言いました。


 それから、少しずつ寒くなってきたので、海から上がることにしました。


 ポイポイと服をぬいだところにたどりついて、体を拭こうとしますが、なにもありません。


 しかたないので、太陽の方をむいて、乾くのをまちました。


 体がベタベタして、足は砂だらけです。


 やべーやべーと連呼しながら、車のところへ戻ります。


 それから、ちかくの公園にいって、水道で足をあらいながしました。


 お祭りの準備なのか、後片付けなのかわかりませんが、白いテントでおじさんがなにかやっていて、チラチラと見られるのがちょっと恥ずかしかったです。


 そりゃ、いい歳した、おっさんとおばさんが水道で足を流していたら、なにごとかとビックリされると思いました。


 わたしは、海水に浸かってボサボサになった髪をそのままにして、帰ることにしました。


 おともだちも、さすがに帰るといっていました。


 ほどよく気持ちよく疲れたので、きょうはいっぱい寝れると思います。


 たぶん、おともだちは、不安障害とうつ病の症状が出てきてしまったわたしを、元気づけようとしたのだと思います。


 トリッキーだけど、やさしいおともだちがいて、良かったと思います。


 帰りにパ〇コをはんぶんこにして食べたかったのですが、最近のコンビニには売ってないのに、少しびっくりしました。


 さて、今日はおうちにかえって、ゆっくり寝ようと思います。


 今日はとっても楽しかったです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る