第13話 写楽からの調査報告2

 朝市も解散の雰囲気があったので、俺は元の服装に着替えて一旦宿に戻った。

 釣りから帰って来るならちょうどいい時間だし、二人はカフェで働いてるから怪しまれないのが助かる。


 写楽からの報告書に目を通すことにした。

 念のためではあるが、柏木の身辺調査を依頼しておいたのだ。

 これは時間がかかるから島の調査より前から頼んでおいた本業の仕事だ。


「柏木が都会で消耗してたのは本当っぽいな……。

残業一二〇時間、高給取りではあるが大学院の専攻とは異なる不本意な仕事で酷使されると」


 よくある話だ、これだけで病むかはその人次第だな。


「心療内科の予約は入れているがまだ初心は受けられていない」


 ふむ、これも特段珍しくないがメンタルの不調の理由にはなる。

 追いつめられて自殺未遂を行った可能性はあるね。


「ん?婚約者とはうまくいっていない。

そのストレスもあったように思える。

残業をしないときはデートを強要されて居たと」


 それが嫌だったのか限界ギリギリまで残業を詰め込んでいた可能性もあるな。

 しかし、無理やり残業を詰め込んでいたうえに、休日出勤までしていたために、会社から強制的にリフレッシュ休暇を使って夏休みが二週間近く出来たと。


「クソブラックかなと思ったら、自分でブラックにしてるだけで割と普通の外資系ホワイト企業じゃないか。

そうなると仕事場より、やっぱり彼女が原因っぽいな」


 しかも、その夏休みを彼女と過ごさなくていいようにリゾートバイトか。

 どれだけワーカホリックなんだと思ったが、そういう理由かよ。

 それなら別れればよかったじゃないk……。


「あ、親が決めた婚約者なのね……。

政略結婚みたいなものだけど、それで別れることもできない。

それが金遣いの荒いあのキツイおねえさんと。

災難だな彼も」


 さてさて、報告書を読んでいたらもう14時過ぎ。

 昼飯をカフェで食べてから、最後の詰めと行きますかね。


「これもう幾谷と柏木に話を聞いて、真実を明らかにしてしまうしかないかな。

彼女と別れさせてやったほうが全員のためなんじゃないか」



「マスター、オムライスとセットコーヒー。それと少しお話ができませんか?」

「えぇ、構いませんよ。そろそろ来る頃だと思っていましたので」


 やはりこの店長、既に気付いていたのか妙に手際がいい。

 店をクローズドにしてしまった。

 元々、一五時以降は夜営業の仕込みのため店を閉じるからちょっと早くても問題ないとのことだ。

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