さよならの告げ方

 このところ全く眠れない。

 明日も朝早いというのに困ってしまう。

 原因はわかっている。

 彼が亡くなって半年が過ぎた。

 喪失感に枕を濡らす日々が続いたが、このところようやく寂しさにも慣れてきた。

 だったはずなのに……

 ああ、まただ。

 うつらうつらとしてきたところに、玄関の呼び鈴が鳴った。

 こんな夜中に。毎回だ。

 これが私の不眠の理由。

「君にちゃんとお別れができなかったからぁ。さよならが言いたいよぉ」

 私は布団を頭からかぶり、無視を決め込んだ。

 どうせ玄関を開けても、姿を見せないくせに。

 もう住む世界が違うんだ。あきらめてほしい。

 早く成仏してくれないかな。そんなことを思いながら、私は目を固く瞑った。

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