リベンジ オブ クリスティア

秋乃楓

第0話/復讐の始まり

マギア…それは言ってしまえば人には過ぎた力。

マナと呼ばれるエネルギーと元素と呼ばれるモノを用いて物質変換し力として利用する。

人々はそれをいつしか魔法と呼称する様になった。

やがてこの力は国同士の戦争や内乱にも用いられる程になっていく。圧倒的なその力は軍事利用に最適だと判断されたからだ。

しかし、このマギアと呼ばれる力はとある国が見付けたモノにしか過ぎない。


非人道的な数多の実験と研究の末にこの力は生まれた。1人の少女を研究対象とし、その成功の証として生まれたのがマギアであるという事を世間は未だ知らない…いや、知る由もない。

それ等は全て明るみに出る事は無く…暗い闇の底に隠蔽され封じられた為、真実を知る者は極わずかしか居ない。


-この物語は魔法と呼ばれるモノが当たり前に存在する世界に生きる1人の少女と王族の少年の物語。-


そしてこの話は彼女の始まりの物語である。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

隔離されたとある施設。そこはもう長い事使われていない。何故ならもう実験を行う必要が殆ど無くなってしまったからだ。

錆びた鉄格子に雑草が所々生えた石レンガの床と同じ材質で作られた壁。苔が生えて変色してしまった部分が目立つ。そこに居たのはボロ布を纏った人間で両手首を天井から伸びた鎖に着いた手枷により拘束されていた。長く垂れ下がった黒い髪はだらんと下を向いている。


[…■■■、これで世界は平和になるんだよね?…もう戦争なんて無くなるんだよね?]


そんなの解らない……。


[平気だよ…痛いのも…辛いのも…苦しいのも。■■■が居るから耐えられる…だから…そんな顔しないで?]


平気な訳が無い…痛いのも…苦しいのも…。


[さよなら…■■■……私が…戦争を…止めてみせる…私の……力で…戦争が…無くなるなら…それで良い……ッ…また…■■■と……一緒に…お外で…遊びたかった…な……。]


行かないで、消えないで、私を1人にしないで。

何故、誰もあの子を気遣わないの?

どうして…そんなに喜んでいるの?どうして…どうして…?


-ありがとう…キミ達姉妹のお陰で我々の唱えた仮説が正しいという事が証明された…そしてキミはその生き残り…彼女が消えた事は仕方の無い事だったんだ…でもこれで大勢の民の命が救われる…彼女の犠牲は…必要なモノだったんだよ…解ってくれるね…?-



そんなのウソだ。

そんなの認められる訳が無い。

都合の良い様に私達は利用され、身体を弄られ、挙げ句の果てに幼いあの子は死んだ。必要な犠牲なんて有る訳が無い、有ってたまるか。

何が新しい力だ…何が大勢の人間を救う為の力だ…何が…何が…何が…ッッ!!!



「は…ッッ!?夢……?」


激しく湧き上がる憎しみの感情と共に黒い髪の少女は顔を上げて目を開いた。

辺りを見回すと変わってしまった光景に思わず驚いていた。確か鉄格子は未だ真新しかった上に床や壁も本来よりもう少し綺麗だった筈。

だがそれ等は彼女が長い年月もの間、此処に幽閉されていた事を示すのに充分だった。

彼女の足元にはネズミの骨の他に生えていた雑草や草の枯れた後が残されている。


「…本来の人間ならとっくの昔に死んでる。あたしがこうして生きてるのは…多分アレのせいだ……実験過程で埋め込まれたアレ…名前は忘れたけど……。」


彼女が普通の人間なら此処で骨となって血肉が朽ちていても可笑しくは無い。そしてこの部屋は所謂、監禁部屋。実験される度に手枷と足枷を外されては連れて行かれ、別室にある場所で裸にされてあちこちを弄り回された後にまた服を着させられて変な器具を頭に付けられた末に血液を抜き取られる。その抜き取った血液の行く先は知らない。

数時間もの実験が繰り返された末に此処へまた繋がれて眠る。毎日その繰り返しでしか無い。

食事なんてした事も無ければした覚えも無かった。

何故なら身体が特別だからだそうで、食事の必要は彼女には無いのだ。


「……誰か来る。」


そう呟くと彼女は顔をゆっくり下げる。

足音が牢屋の前で止まると話し声が聞こえて来た。


「…素晴らしい、幾ら人体実験を繰り返しても未だ完璧にその姿を保っていられるとは。彼女が例の片割れかね?」


やや高めの声を出す男が話し出す。

するとべつの人間が話し出した。

彼も声の雰囲気で男性なのは間違いない。


「はい、コイツが例の資料に有った被検体ナンバー001で間違いは有りません…詳しい資料は既に廃棄されていた為、これ以上は解りませんが……。」


鍵が開けられて男達が入って来る。

もう1人が彼女の右側へ立つと髪の毛を掴み上げて顔を無理に上げさせると傷の有無を確認していた。


「…特に目だった外傷も有りません、ですが右腕が少し変わっています…何かを隠しているのでしょうか?」


彼女の右腕は黒い布に巻かれている。

それもご丁寧に指先まで全て。

触ろうとした男を声の高い男が止めた。


「迂闊に触るなッ!!恐らくそれが我々の探していたモノ…緋の魔導書(ヴァイタル・イーター)下手をすればお前も取り込まれるぞ?」


緋の魔導書?薄らと彼女にも聞き覚えが有った。

あの時確か何かされたのは覚えている。

嫌だと泣き叫んでも喚いても埋め込まれた何か。

それからだ、身体が可笑しくなったのは。


「…!神父様!!今ソイツ動いた様な気が…!」



「バカを言うな、コイツは何年もの間此処にこうして繋がれてたんだぞ?生きていられる訳が無い…第一、生きてたとしても…!!」


そう神父と呼ばれた男が話した時だった。


「……それは奇跡か確率的な話でしかない。違うか?」


少し低めの声が響くと彼女がニヤリと笑って話し始めた。周りに居た3人がそれぞれ離れて壁の方へ寄って行った。


「なッ、な、な、何故生きている!?バケモノか貴様!?」



「…バケモノ?クククッ…そうかもしれないな?あたしはバケモノだ…身体のあちこちを好き勝手弄り回され、挙げ句の果てに変なモノを体内に埋め込まれたバケモノだよ……。」


ニヤリと八重歯を見せて彼女は3人を見て笑う。

左右2人は銀色の装甲を纏い、真ん中の神父?と呼ばれていた奴だけは上下とも黒の服で見慣れない格好をしていた。彼女がグッと左右の手に力を込めるが手枷が外れる気配は無い上に当然だが左右の足首に付けられている足枷も外れない。すると再び神父が話始める。


「お前は何故生きていられる…やはりその腕の力か?」



「…さぁ?どうだろうな……それで、何の用だ?土足で女の部屋に入って来たんだ…何かするつもりで来たんだろう?」


彼女は金色の左目で3人を見据える。

すると左右の2人が此方へ武器を向けて来た。

剣の刃先が彼女の頭や身体へ向けられる。


「神父様ッ、危険ですのでどうかお下がり下さい!!バケモノめ…口を慎め!!」



「神父…?つまり…アンタ偉い人って事か。なら丁度いい……教えろ、アレからどうなった?」


彼女の目付きと雰囲気が変わった。

そして神父らを威圧する様に睨み付ける。


「あ、アレとは何だ!?」



「…知らない筈無いだろう?戦争だよ、戦争…お前達は派手に殺しあった筈だ…知らないとは言わせない……それでどうなんだ…気持ち良かったか?」



「き、気持ち良かった…だと?何を言ってるんだ!?」



「焼かれる村や家…逃げ惑う女や子供の叫び声と悲鳴…飛沫する血液と斬り裂かれる人間の肉…そして生まれる夥しい数の死体の山……そして勝利という存在しない空想に酔いしれる貴様達…マギアはその為に作られたのさ…戦争の道具として…。」


ケラケラとバカにする様に彼女は語る。

神父はその光景を見ると思わず息を呑んだ。


「それだけじゃない…そのマギア自体は私から作られた…つまり、あたしが生みの親って訳さ……クククッ!!」


不気味な笑みを浮かべ、彼女は笑っている。

この女からマギア…つまり言い換えるなら魔法が生まれたという事になるがそんな事は知らなかった。

何せそんな話は資料には無かったから。

すると神父に変わって剣を向けていた兵士の1人が叫び出す。


「ッ…ふざけるな!!神がこの魔法と呼ばれる力を我々人間へ齎して下さったのだ!!貴様の様なバケモノ如きがそんな真似出来る筈が無い!!」



「そうだ、言葉を選べ!!このバケモノがぁッ!!」


そして癇癪に任せて彼女の身体へ剣を突き刺してしまった。か細い身体に銀色の剣が刺さると彼女は口から血を吐いた。それを見た神父は絶句し、彼の肩を揺さぶった。


「な、何という事を…!!彼女に傷1つ付けず回収しろという命令だぞ!?何故だ、何故刺した!?」



「もッ、申し訳ございませんッ!!ですが、神を侮辱するという事は…我々の意に反しますッッ!!」



「解った、もういい…!!今は兎に角、彼女の手枷と足枷を外して此処を出るぞ…長居はしたくない。話なら後で聞いてやる!!」


神父がそう指示を出すと彼は剣を引き抜き、もう1人の兵士が彼女の手枷を外す。どさりとその場に倒れた彼女の肉体は驚く程に綺麗だった。

着ていた服はボロボロだが白い肌と華奢な身体付きは歳頃の子と変わらない。胸も程良く成長し形も整っている。先程腹部に刻まれた刺し傷を除いては。


「…死んだのか?アレだけ好き勝手言って力尽きるとは…随分と呆気ないな。バケモノの癖に…身体だけは女らしい。」


手枷を外した兵士が彼女の身体を舐め回す様に見つめる。すると突然目を開き、彼女は右手で兵士の首を掴むと顔を近づけた。


「へへ…ありがとな…自由にしてくれて…?」



「貴様…ッ、何故!?」



「あたしはな…何故か死なないんだよ…身体を切り刻まれても、手足を無理矢理引きちぎられても…何をされてもさ…不思議だろ?…だからこの通り…傷も直ぐ塞がっちまう……。」


兵士が視線を落とすと先程もう1人が刺突した筈の傷が塞がり、跡形もなく消えてしまった。


「バケモノめ…ッッ!!」



「せめてもの礼だ…あたしの糧にしてやる…ッ!!」


彼女が右手に力を込めると兵士は悲鳴をあげながらもがき、苦しみ始める。ただ首を絞め上げているだけでは無い。


「は、離せッ…貴様ぁ……ッッ!!」



「…貴様の命を我がモノとし…彼の者の精神をも破壊し喰らい尽くし…その魂すら飲み込め…ッ!!」



「い、嫌だぁッ!!死にたくない、助けてくれぇッ!!助け…て…ぇッッ……!!」


そう彼女が唱えた瞬間、叫んでいた兵士の肉体が黒く変色し始めると最後は黒い塵の様な姿へ変わると崩れ落ちてしまった。ガシャンと鈍い音を立てて彼の身に付けていた鎧や剣が落下する。


「…ごちそうさん。美味しかったぜ?」


ニヤリと笑うと彼女は足枷を剣を用いてそれぞれ破壊すると残された神父ともう1人の兵士を立ち上がって見据えた。神父は咄嗟に逃げ出すと兵士だけが取り残されてしまう。すると彼は剣を向けて睨み付けて来た。


「きッ、貴様ぁッ!!」



「…これが剣か。へぇ?随分と重たいんだな…持ち方はこれで良いのか?」


少女は鞘から剣を引き抜くと兵士と同じ構えを取ると右手でそれを握った途端、刃が黒く変色した。


「ッ…よくも…よくも俺の仲間を!!」



「…ナカマ?何だそりゃ…けど…あんたにもお礼言っといてやらないとな……あたしは生憎…神なんて信じちゃいない…次いでにもう1つ教えといてやるよ…マギアは人間には過ぎた力だ…あたしとあの子が人柱されて生まれた力…それがマギア…。」



「人柱…!?貴様以外にも…被検体が…!?」



「…知らないんだな、何も。その方が幸せだ…何も知らずに奇跡の力って言って使ってりゃ…それで良いんだからなぁ……ッ!!」


まるで慣れた様な動きで彼へ肉薄し、喉元へ逆手に握り締めた剣の刃を当てると更に続けた。


「…覚えときな…あたしはな、望んでこんな身体になった訳じゃない……貴様らが過ぎた力を求め…貴様らが慕うその神って奴の依代として選ばれ…挙句の果てにこうなった……あたしがバケモノなら、貴様らはクズだ…ッ!!」


そう呟くと彼女は彼の喉元を刃で掻っ切った。

赤い鮮血が彼女の顔や着ていたボロ布を汚していくと兵士は壁に背中を擦り付ける形で座り込んで動かなくなった。そして彼女は剣を捨てて牢屋を出てから歩き出すと研究室と思われる場所を見つけて足を止める。その中へ入ると1つのリストが埃の被ったテーブルの上に置かれていた。

赤戦が引かれ、消された名前の中に消されていない項目が2つだけ残されている。


「クリ…スティ…ア…?」


ゆっくりとその名前を読むと頭痛がし、思わず手にしていたリストを床へ落としてしまう。クリスティア…それが自分の名前なのだろうか?

頭を片手で抑えながら辛うじて平静を保つとゆっくり名前を話した。


「クリスティア…それが私…私の…名前……?」


右手を握り締めると彼女は部屋を後にする。

そして微かな記憶を頼りに壁伝いに歩いて行くとドアを開いて外へと出た。だが目の前に居たのは先程の兵士と同じで銀色の装甲を着た連中、そして彼等は此方へ剣や槍を向けて様子を伺っている。


「神父様、コイツが例の?」



「そうだ…!そいつだ!!そいつが被検体ナンバー001だ!!王の命令だ…生きたまま捕えるのだ!!」


すると神父以外のその場に居た全員が槍や剣を向け、クリスティアを威嚇する。


「…折角、自由の身になったのに。」


クリスティアが呟くと1人の兵士が別の兵士へ駆け寄ると話し出す。


「団長、魔法の使用許可を!!」



「…生憎だがそれは許可出来ん。」



「しッ、しかし!!」



「生きて捕らえろという事は傷を付けるなという事だ!!魔法に頼らずとも、制圧してみせろッ!!」


団長という人物はそう話すと全員へクリスティアを捕らえろという指示を飛ばすと彼女へ兵士らが襲い掛かる。


「…でやぁああッ!!」


襲って来た兵士が振り下ろした剣をクリスティアは避け、様子を伺う。何故かは解らないがどうすれば良いかは身体が覚えているらしい。

攻撃の避け方や反撃の方法も全て身体に染み付いている為、続いて繰り出された払いや刺突も次々に避けていく。


「クソッ…此奴、大人しくしろッ!!」



「…面白いねぇ?これが命のやり取りって奴か…ッ!!」


たんっと地面を蹴って彼女が飛ぶと彼の胸元へ飛び蹴りを繰り出す。突き放すと着地しペロリと舌を出すと唇を舐めた。


「あははッッ!!面白い面白い…まだまだ行くぞッ!!」


再び仕掛けると彼女は先程の兵士の顔を右手で鷲掴みにし力を込めると槍を向けていた兵士らへ投げ付けて制圧する。そして彼が落とした剣を器用に足で拾い上げて右手へ握り締めると構えてみせた。

すると再び、剣の刃が黒い刃へと変化しそれを逆手に持つと彼女は獲物を求める獣の様に次々と兵士らへ襲い掛かった。人間がどうすれば死ぬのかは解っている。首や腹、頭、胸を狙って突き刺したり斬り裂いたりすれば死ぬ。後はそれを如何に的確に行うかだ。こうして彼女は12人ばかし居た兵士らを瞬く間に次々と死体の山へと変えて行った。


「貰ったぁッッーー!!」



「ちッ…!!」


クリスティアは突き出された槍を避け、それを掴んで左手でへし折る。そのまま右手の剣で相手の首を斬り裂いて跳ね飛ばした。その光景は悪夢そのもので1人の少女相手に大人が次々と薙ぎ倒されていく様は見るに堪えない。そしていつの間にか隊長という男だけが取り残された。どうやらさっきの奴が最後の1人だったらしい。


「…これで全員、呆気無かったな?」


クリスティアが振り向くと彼女の着ていたボロ布の服も色白の手足も全て返り血でより赤く染まっていた。


「あんたもやるか?…今なら相手になってやる、それであたしの事斬ってみろよ…憎いんだろ…こんな真似されて…!!」


彼女が挑発した時、彼は挑発には乗らず倒れている神父を馬へ乗せると自分も馬へ跨った。


「貴様の事は生かしておいてやる…我が名はジャック……ヴィルヘルム王国、セブンス騎士団の団長であるッ!!貴公の名は何だ?答えろ!!」



「……クリスティア。」



「クリスティア…その名、しかと我が胸に刻んだ。次会う時が貴様の最後だ…覚悟しておけ!!」


そう言い残すと彼は馬と共にその場から去った。

残されたクリスティアは遠くを見つめて呟いた。


「ヴィルヘルム……そこに行けば何かが掴める…。」


彼女はフラフラと歩き出した。

何処にあるかも解らないヴィルヘルムという国を目指して。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あれから幾度か月日が経った。

クリスティアはヴィルヘルム王国にある地下牢に幽閉され前と同じ様に捕らわれてしまった。

彼女を捕らえようと幾度か王国側から追っ手が放たれた末に拘束されたのだ。

しかも彼女が最も忌み嫌う魔法という力によって。

飲まず食わずでも彼女は生きていられるがその代わり彼女の右腕…緋の魔導書が自然とエネルギーを奪い始める。空気中に漂う目には見えないマナと呼ばれるエネルギーを吸収しそれを取り込む。

そしてまたあの時と同じく彼女の元へ誰かが訪れた。

彼の手にはランタンが握られており、それを地面へ置く。それからその牢屋の前に懐から楕円形のパンを2つ取り出すと紙を敷いてから置いた。


「…兄上と父様は此処へ来るなと言っているけど、やっぱり僕はキミを放っておけない…僕と同い歳の子が何故こんな酷い扱いを……。」


前に看守へ聞いた事が有るが、彼女は街で暴力沙汰を起こして捕まったのだという。

本来なら1晩か2晩で出られる筈なのに彼女はずっと此処に居る。

だがとてもでは無いが彼女が他者へ暴力を振るう様には見えない。両手首を頑丈な鎖に繋がれ、更には足枷を嵌められているといった扱いを受けているがその顔は未だ子供でどう見ても幼さが残っている。


「…いつか僕が必ずキミを此処から出してあげるよ。だからその時まで待ってて欲しい。」


そう言い残すと彼はランタンを持って彼女の前を立ち去った。彼の名前はウィリアム…、クリスティアという少女によって後に大きく自身の運命を動かされていく事になるヴィルヘルム王国の王子。



そしてこれは魔法マギアと呼ばれるヒトならざる力を巡る2人の少年、少女の物語である。





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