第28話 打首
「...悪かった...お前は下民じゃない...私を無事に街へ帰してくれたらお前をギルドマスターに、何なら王都に交渉して貴族にしてやる...金も女も好き放題だ...な? 悪くない話だろ?」
サーシャは立ち上がれず首だけを上げたまま俺に提案をしてきた
「金と女ね...ハーレムなら他の主人公に紹介してやってくれ。それに貴族なんて肩書きは俺の婚活紹介文に不要だよ」
━━━それにしても背骨折れて肋骨も粉々なのによく喋れるなこの人...これも剣神スキルの効果なのか?
「そんな...なら一体何が目的だ...勇者一行の私を再起不能して...魔神を倒して欲しくないのか...?」
「魔神ね...今度菓子折り持って挨拶に伺うよ。それより質問なんだけどここの施設は剣神サマだけが作ったんじゃないんでしょ? 他に誰が関わった?」
俺の質問にサーシャは怯えた表情を見せて目線を逸らした
「それは...言えない...言えば私は...頼む...罪は償うから命だけは...!」
「そうかい、なら身体をデュラハンみたいにするしかないね」
俺はサーシャの首に手刀を当てる━━━
「わかった!...話す...話すよ!...この実験は大賢者モロンそして...」
「勇者の妻の1人...大聖女エレナ様だ━━━」
「━━━は?」
「お前......もしやエレナ様を知っているのか?」
嘘だろ...
「え? ああ...昔サイン会に参加したことがあるよ」
「嘘をつけ...先程は無かった怒りが見えるぞ...」
母さんがこんな悪事に手を染めていたなんて...
勇者は母さんを洗脳して加担させたのか?
もしそうなら...絶対に━━━
「バレちゃ仕方ない...何を隠そう俺はエレナ様の元ファンでね、勇者との交際報道が出てからはアンチとして街の掲示板に誹謗中傷を書き込む日々を送っているんだ」
「なにをくだらん事を...お前の質問には答えたぞ! さぁ早く私の身体を治せ!」
「そうだな...じゃ始末するか」
「うん」
パトラは動けなくなったサーシャの元に刀を抜いて近づいた
「そんな...質問にはちゃんと答えただろ! 私の命は保証しろよ! 私を殺せばお前達は絶対に後悔するぞ!」
必死の形相でサーシャは俺たちに訴える━━━
「保証か...俺と会う前に生命保険に加入すべきだったね。さてと...女王様には身体の痛みよりダメージがデカい鞭を打たないとな━━━」
「そんな...何を...」
俺はサーシャの顔を手で覆う
━━━零。
サーシャの身体から眩しいくらいの青白い光が放たれた。
そしてその光は俺に移りサーシャの元から光が消えた
「お...お前何をした...私を殺さないのか...? あれ...」
「おっ気が付いた? 今日から女王様は我々下民の仲間入りだよ」
「そんな...人間にこんな事が...ありえない...私の...私のスキルが! ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」
サーシャのスキル《剣神》は俺の力により失い彼女は断末魔の悲鳴をあげた
「ジュノ...あなた何者? 人からスキルを無くすなんて...それも神に選ばれしスキルを...」
刀を抜いて隣に立つパトラは俺に戦慄の眼差しを向ける━━━
「バカな...私が...剣神の私が...なんで...なんで...ああ...私は...あへ...そんな...」
サーシャの精神は耐えきれなかったのかうわ言のようなものを口走り始める
「イカれちまったのか...苦労せず手に入れたスキルに頼るからそうなるのさ。来世では40年拷問されてから出直すんだな」
「へへ...私は...もうただの...くへ...下民なんだ...頼む...殺さないでくれよ...」
あれだけ傲慢な態度を取っていた登場時の面影はもう一切見受けられないな...
「俺に言われても...最期の鞭を打つ人間は俺じゃないんだ。なぁパトラ」
「うん、やっと本当の仇が討てるよ...ありがとうジュノ」
パトラは冷徹な顔でサーシャに刀を構える━━━
「パトラ...やめろ...やめてくれぇぇっ!」
「死ね化け物」
サーシャの首は宙に舞い床へ無造作に落ちた━━━
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