第二話 すべてを失った者

第二話 すべてを失った者

あれから一年がたった。未だに彼女が俺のことを思い出す気配はない。俺はもう存在しない人間になり始めている。残ったのは去年から仲の良い親友数名のみである。今の俺にあるのは心にぽっかり空いた虚無である。あたいサイキョーだから別に寂しくないからね(グスン)。何の陰謀か俺と神無は今年も同じクラスになった。もうすぐ修学旅行があるが、どう転んでも一人で回ることになるのだ。十六夜の月が空に浮かんでいる。もうヤダ。長野県の山奥に引きこもりたい。修学旅行が近づくに連れて、クラスが色めき立つ。あいにくと、彼女からは俺の存在が消えているから色めき立つような相手はいない。こうなったら、長野県の山脈群を土地ごと買って幻想郷でも作ってやろうか。それか、英米仏露の原爆を東京・NY(ニューヨーク)・ロンドン・北京(ペキン)・パリ・香港(ホンコン)・上海(シャンハイ)とかに投下して人類を破滅に追いやってやろうか。それとも修学旅行先の京都を絨毯爆撃して修学旅行を中止に追いやってやろうか。どうせ失うものなどもうないのだから。あったとして、この健康な体だけだね。いっそのことこの地球上の主要都市全てに原爆を投下してこの地球を滅ぼしてやろうかな。そんな感じであれから一年がたった今、俺の精神は崩壊しているのだった。

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