第2話 温海と2人 その1

思ったより準備に時間がかかり、乗る予定だった電車には何とか間に合った。

温海と夕の家の最寄り駅まで電車で2駅だけど、地方の幹線路線なので

2駅と言っても10分以上かかる。

気軽に行くにはちょっと遠いけど、2人に会えるなら構わない。

出会った頃は、ツンツンだった温海だけど、今ではツンデレになったしね。

ツンツンだった原因はわたしが2人が付き合ってるか探りを入れてたからだけど

今思えば結構失礼と言うか、相手にされなくなっても文句を言えない

事をしてたけど、教室でのキス事件があるまでは確証が掴めなかったからね。


 2人は付き合ってる雰囲気は出してから、温海は何かと有名だから

周りも気づいてはいたけど、直接聞けないどころか話しかけること自体がね。

ただ、百合カップルのためならばなんのそのだったけど、やりすぎたから反省。


 ただ、そんな事があっても2人とも仲良くしてくれたし

今では親友と呼べる間柄になったけど、知り合って1年4か月、

友達付き合いをしたのは1年も経ってないから、親友って言えるかは疑問だけど

お互いが親友と言ったら親友でいいんだよ。


 そんな事を考えていると、降りる駅に着いた。

改札をできると丁度13時であったけど、改札の前には

水色のワンピースを着た小さいツインテールの女の子がいたがもちろん温海である。


「温海お待たせ」

「別にまってなんていないからね、今来たばかりだからね」


テンプレのツンデレがさっそく出しました。

温海の家から徒歩だと、この暑さならもっと汗をかいてるはずだけど

汗をかきやすい温海の汗が乾いてるから、早く来たのは間違ないない。


「夕は残念だったけど、2人だけって滅多にないから機会だね」

「そうね、いい機会よね……今日はよろしくね、文乃」


温海は照れてうつむいたけど、そんな態度取られるとこっちも恥ずかしくなる。

お出かけと言ったけど、これではやっぱりデートだよ。

なんかこっちまで変に意識しちゃいそうだけど、気にしないでおこう。


「とりあえず、どこに行こうか」

「そうね。でも、どこに行くかはっきり決めてないわ」

「決めてないなら仕方がないけど、わたしは昼ご飯まだだから何処かお店に入ろうか」

「そうね。あたしもまだだから、そうしましょ」


 わたしは服選びをしていたら、出かける時間になったから

水分は摂ったけど朝ごはんを食べていないので、おなかが空いている。

駅前にもいくつかお店がるので、入った事ないハンバーガー店に入ったけど

ちょっと高めのお店だけど、たまにはいいよね。


「文乃、お金大丈夫?」

「大丈夫だって。温海さんほどじゃないですが、それなりにはありますぜ」

「何、その話方。ま、いいわ。今日はあたしのおごりよ」

「いやいや、温海の誕生日だからわたしのおごりだよ」

「そ、そうだけど、ここは高いお店だしそんな気分なの。嫌ならいいわよ?」

「いえ、ありがたくおごっていただきます」

「まったく、文乃は素直じゃないんだから」


温海はそういながら、嬉しそうだ。

まぁ、わたしの場合素直じゃないというよりも、気が引けるからなんだけどね。

温海がお嬢様と言っても、親友で同級生だから対等で居たんだ。


「おごりだからって頼みすぎじゃない?」

「育ち盛りからね」


対等と言ったがあれは嘘だと言いたくなるけど頼んだけど

ハンバーガー2つとポテトにコーヒーなんだけど、全部で2000円ほどして

朝ごはんを食べてないからお腹が空ていとはいえ、流石にちょっと悪いと思った。

一方、温海はハンバーガーとドリンクのみ。


「温海のおごりとはいえ、流石に高かったかな」

「これぐらいいいわよ、中学の時にもっと高い下着を夕に……」


温海は言いかけてしまったという表情をしているが、この話は初めて聞くよ。


「その話初めて聞いたけど、おいくらの下着を贈ったんですか?」

「ちょっと、耳かしなさいよ」


温海は値段を言うが、あまりの値段に逆に声が出なかった。


「あのー、中学生で1万5000円の下着を贈るのは流石に引くよ……」

「あたしだって、びっくりしたけど……初めてのプレゼントで勢いで買っちゃったのよ」

「夕の胸は大きいから、ちょっと高いのはわかるけど、それでもね……」

「む、昔の話だからね。それに、夕からも高い下着もらってるから」


昔と言っても2年前の話だけどね。

ただ、温海はともかく、夕も意外とお金持ってるんだね。

古い家で温海の家より広い土地を持っているから、それなりに裕福な家のは

わかるけど夕は正直謎が多い。


「そうだ、せっかくだからわたしも下着を買ってあげる。高いのは買えないけどね」

「下着はもういいわよ。他の物がいいわ」

「ま、プレゼントは既に用意してあるけどね」

「ならいけど。でも、何かもっているようには見えないわね」

「いいですか、温海さん。今はネットで何でも買えて、お届けできるのですよ」

「そんなのわかってるわ。住所も教えてあるから、要はネットで何か買ったって事よね」

「その通り。多分、もう届いてるかもしれないけど帰ってからのお楽しみで」

「わかったわ。楽しみにしてるわね」


温海はそう言って、ハンバーガーを食べ始めるから、わたしも頂こう。


「そういえば、文乃はブラックでのコーヒーを飲むのね」

「なんかしらないけど、はじめからブラックで飲めるんだ」

「それってかかなりすごくない?」

「わたしも自分でもすごいって思うよ」


わたしは初めてコーヒーを飲んだ時から何故かブラックで飲めた。

甘いものが嫌いって言う訳でなく、むしろ好き。

ただ、お茶も濃いめが好きだし、紅茶も無糖がいいからそう言う味覚なんだろうな。

苦い味は大人にならないと慣れないらしいから、自分でも不思議。


「温海も飲んでみる?」


わたしは飲みかけのコーヒーを温海に差し出す。


「あたしは無理だわ」

「そうだよね、ブラックで飲めるわたしが珍しいだけだしね」


わたしがグラスを自分の方にもどそうとすると


「試しに飲んでもいいわよ、よこしなさい」


温海は急に強がるけど、大丈夫かな。

温海はわたしが使ったストローを使うけど。それって……いや、変な事考えるなわたし。


「やっぱり、苦いわね。あたしには無理だった」

「でしょ、わたしが変わっているだけなんだ」


わたしは温海が使ったストローを気にしてないそぶりで、また飲むけど

それ以上に温海が顔を赤くしてるけど、同じ事を考えているみたいだな。

温海って初心って言うより、むっつりだけどね。

もっとも、わたしもあまり他人の事言えないけど。

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