第3話 冒険の始まる地¨ファス¨


「―ようこそ、冒険が始まる街¨ファス¨へ。その身なりからして必要ないと思うが、一様確認させてもらう。君は何しにこの街へ?」

「冒険者に成る為に来ました。始めるならここに行けと、祖父に勧められたので」

「だろうな。冒険者を始めるなら、この街以上に適している場所なんて無いからな!……よし、通って良いぞ。」

「ありがとうございます!」


 俺の現在の身なりは、遠い村から冒険者を目指してこの街にやって来た旅人の標準装備だ。遠くて田舎の村なので身分証が無くてもしょうがない旅人と言った設定で、街の関門を通る事ができた。

 因みに、この設定は女神さまが空間収納に入れていてくれた初期装備と資金を見て、かぐやと一緒に考えた。


「これが異世界の街か……!凄い、日本では見れない街並みだ。」

『この世界はファンタジー要素が強く、地球みたいに科学が発展していませんからね。その分、魔道具などが発展しているので、暮らしの便利差はそこまでないと思いますよ。……まあ、揃えるのに相応の資金は必要ですが』

「それ、今すぐは無理ってことだろ」


 召喚士と配下の間では、魔力消費なして念話の様に頭に直接言葉が届く配下通信を使うことができる。思った事が直で相手に届くので、内緒話や聞かれたくない話は普通に話さないといけないと言ったデメリットはあるものの、便利差に比べたら気にならないものだ。


「最初は冒険者ギルドに行って、冒険者登録する」

『ギルドに登録すれば、ギルドの紹介で安全で評判の良い宿に泊まる事ができますからね』

「宿が取れたら、依頼を見る。」

『幸い、まだお昼ですからね。宿が取れたら、実際の依頼がどんなもんか経験しましょう』

「簡単な討伐依頼がありそうなら、それを受けて召喚術を使ってみる」

『一から契約して、新しい配下を増やしましょう。速めに配下を増やせた方が、安全に冒険をできますからね』


 こうやって考えたら、今日はやる事が一杯だ。転生初日にして、予定が詰まっている。だが、どれもこれも必要な事ばかりなので、頑張ってやっていくとしよう。


 見慣れない街並みを楽しみながら、冒険者ギルドを目指す。

 大体、十分程歩くと大きな建物が見えてきた。看板と出入りする人の恰好を見るにあれが冒険者ギルドの様だ。


 早速中に入ってみると、美人の受付に色々紙が貼ってある掲示板、少し奥に酒場と言った感じで、外見と同じ様にゲームでよく見る正しく冒険者ギルドって感じだ。


「ようこそ!冒険者ギルド、ファス支部へ!本日はどの様なご用件でしょうか?」

「今日は冒険者登録をしにきました」

「分かりました。では、この書類にお名前とクラスをお願いします。あっ、代筆は要りますか?」

「いえ、大丈夫です。お気遣い、ありがとうございます」


 受け付けにくると、元気印の印象を受ける美人さんに教えられながら登録を進める。流石冒険者ギルド、いろんな属性の美人が揃っている。


『一様、謝罪の印とは言え女神さまから祝愛を受けているのです。美人だからと言って、簡単に誘惑されないでくださいよ?』

「(……勿論、分かってるよ?)」

『……本当に分かってます?』


 以外にも、かぐやはそう言った事に厳しい感じだ。いや、女神さまが関係しているからかな?


『……まあ、この世界は一夫多妻・一妻多夫。私が認めた人となら何人でもそういう仲に成っても文句は言いませんよ』

「(え、逆ハーとハーレムが認められているの?)…マジかよ、異世界最高だな」

「……?何か、気になる事でもありました?」

「い、いえ、大丈夫です。えっと…そう!村から出たのが初めてなので、ちょっと緊張してるかもしれません」

「ああ、成る程。大丈夫ですよ!この街は優しい人が多いですから。裏路地に入らない限り、危ない事はありません」


 驚きの事実についつい思った事が口にでてしまった。何とか誤魔化せたが、変な事を口走らない様に気を付けないとな。心なしか、かぐやにジト目で見られている気がする。


「はい!では、最後の確認をさせてもらいます!―お名前はケイトラン・プリズトさん。年齢は十六歳でクラスは召喚士。スキルは戦闘系を少々……以上でお間違えないですか?」

「はい。それで合ってます」

「初めての登録ですので、ギルドランクは最下級のE級からのスタートとなります。ランクを分かりやすくすると……」


――――――――――――――――

E級(新人)

Ⅾ級(駆け出し)

C級(一般)

B級(熟練)

A級(達人)

S級(人外)

EX(ほんとに同じ人類?)

――――――――――――――――


「こうなってますね。頑張ればB級まではいけますが、A級からは強さや規模の桁が違います。依頼は、自身のランクより一つ上のやつまでなら受ける事ができます。パーティーを組む事で、ギルドが許可をだした依頼なら二つ上のやつまで受ける事ができます。……これまでは大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。説明が分かりやすいので」


 見た目に寄らず、凄い綺麗な字で書かれたランクボードのお陰で、ランクの説明が分かりやすかった。

 

「はい、これがギルドカードです。身分証にもなるので、無くさないでくださいよ?再発行も出来ますが……まあ、手続きが面倒くさいので」

「おお、これが……」


 自分と登録した街の名前、冒険者ランクが刻まれたカードを受け取る。

 これがファンタジーでお馴染みの冒険者ギルドカード……実際に手に入ると何とも言えぬ喜びがあるな。


「最後に、討伐した魔物に関してですか、討伐依頼を受けている場合は依頼対象である魔物の素材の一部を証明として報告時にお持ちください。依頼を受けていない場合でも、魔物ランクに合わせて報酬がでますので、是非お持ちください。勿論、魔物の素材買い取りもしていますので、じゃんじゃん魔物を倒して持ってきてくださいね?」

「は、はは……勿論、じゃんじゃん倒してきますよ」

 

 近い、近いです。最後の部分を強調しながら顔を近づけてこないで。こちとら美人になれてないので、できれば適切な距離を保ってほしい。


「これで冒険者登録は完了です、お疲れ様した!」

「ありがとうございます」

「こちらが、現在ケイトランさんが受ける事ができる依頼一覧です。早速ですが、何か依頼を受けていきますか?」

「う~ん……じゃ、この¨魔犬五体の討伐¨を受けます」

「分かりました。」


 一覧には他にも、スライムだったり、ゴブリンだったりの依頼もあったが、個人的に犬が好きなので配下にするなら犬が良いと思って、魔犬の依頼を受ける事にした。


「あ、一つ聞きたい事が在るんですけど……」

「はい、何でも聞いてください!」

「おすすめの宿とかってあります?」

「宿ですか?そうですねぇ……ご飯が一番美味しいのが¨ゴメス停¨。部屋の居心地が一番良いのは¨花癒しの宿¨ですね。個人的におススメするなら¨花癒しの宿¨ですかね。部屋も広くて、店主も和やかで落ち着いて休む事ができると思いますよ」

「成る程、¨花癒し宿¨ですね。ありがとうございます。」


 そこから少し雑談した後、後ろに他の冒険者が並んできたので、ギルドを後にした。

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