第21話やるべきことはアレルゲンの特定

「え?」




 思わず、界人は間抜けな声を上げた。


 むにっ、という、胸に感じる柔らかい感触、頭がくらくらするような不思議に甘い匂い、全身で感じる榛原アリスの体温――それら全てが、界人には人生で初めて体験するものだった。


 なにこれ? どういうこと? というように榛原アリスを見ても、榛原アリスは界人に抱きついたまま微動だにしない。




「あの、榛原さん?」

「何?」

「何だこれ? なんで俺、榛原さんに抱きしめられてんの?」

「わかんない?」

「ご、ごめん――全然わかんない。榛原さん、寒いの?」

「なんでこんなことされてるか――本当にわからない?」

「う、うん――」




 界人が全力で困惑すると、榛原アリスが顔を上げ、界人の目を覗き込んだ。

 そして何かを確かめた表情になり、よし、と榛原アリスは微笑んだ。




「んふふ、わかんないでしょ? よかった。いつもの界人君の顔に戻ったね。それでヨシ」




 そう言って、榛原アリスは一層笑みを深くした。


 その表情を見た瞬間――むずっ、と、急に界人の胸の辺りが騒いだ。




 あれ? 服の中に毛虫でも入り込んだかな、と胸の辺りを掻いてみても、毛虫どころか蝿の一匹も留まってはいない。


 なにもないのに、なんだか物凄く、痒かった。あれあれ? と界人が戸惑う最中にも、その痒さは胸を中心にして全身に広がり、全身がまるでかぶれたようにムズムズし始める。




「うわ、うわ、なにこれ……」

「どうしたの、界人君」

「な、なんかわかんないけど、ムズムズする……! 榛原さん、俺に何したの!?」

「えぇ? 何もしてないよ? ただハグしただけじゃん」

「うっ、嘘だぁ――! だって今榛原さんが笑った瞬間、俺なんかすげぇ全身が痒くなってきたんだよ! それなのにどこ掻いても全然治まらない! や、やっぱり女の子に触るとかぶれるんだ! 俺、榛原さんにかぶれっちゃった!」




 榛原アリスにかぶれた。

 界人のその一言に、一瞬虚を衝かれたような表情になった榛原アリスが、急になんだか顔を赤くし始めた。




「お、女の子に触るとかぶれるって……! そっ、そんなことあるわけないでしょ!! 界人君って馬鹿なの!? さっきだって東山さんおんぶしてたけどかぶれなかったでしょうが!」

「えっ、えぇ……!? だ、だって実際に俺、今めちゃくちゃムズムズしてるもん! ……あ、違うか! もしかして男って女の子に触るとかぶれるんじゃなくて、女の子が笑ってるところ見るとかぶれるのか!」

「それも違うッ!」




 界人の思いつきを、赤面を膨れさせた榛原アリスが大声で否定した。




「もっ、もう! ここまでこれとか、幾ら何でも有り得ないでしょ、この鈍感男!! それに何よ、かぶれた、って! もっ、もう少しいい言い方ないわけ!? 毛虫か私は!」

「うぇ……!? な、なんで榛原さんが怒ってんの!? わかんないよ俺!」

「いいから! わかんないままでいいの!」




 榛原アリスは界人の鼻先に人差し指を突きつけながら強情にそんなことを言い張った。




「その状態で森でも海でも行きなさい! 今日一日、その痒さの正体を考えること! それが宿題、ね!? わかった!?」

「えっ、えぇ!? この痒いのって原因あるのか? ……あ、わかった! これがもしかして巷で言うアレルギーってヤツか!? 俺、もしかして榛原さんアレルギーで……!」

「それ以上言ったら泣くから! ギャンギャン声張り上げて泣いてやるから! いいからさっさとどこでも行け、この鈍感野生児!」




 半ば尻を叩かれるようにして、混乱の真っ只中にいる界人は砂浜から森に追いやられた。




◆◆◆




ここまでお読みいただきありがとうございます……!!


こんな変な話なのに、まだジャンル別週間ランキングに残っております!

果たしてこの話はウケてるのかウケてないのか、

カクヨム初心者なのでサッパリとわかりません!

もう少し書いて様子を見たいと思います!!



【お願い】

新規連載作品はスタートダッシュが大事であります……!

何卒、何卒、今後の連載のためにもご評価をお願い致します!!


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