第2話 忘失
四郎「え?ここは?」
俺は真っ暗な空間で目を覚ました
四郎「ハハっ 俺、死んだのか…」
?「その通りじゃよ」
四郎「うわびっくりしたー」
目の前には立派な黒ひげを生やした、
長身のお爺さんがいた。
四郎「あなたは?」
閻魔「ワシは閻魔大王じゃよ。お主の名前は?
四郎「尾ノ道四郎って言います」
四郎「尾ノ道四郎ね…ちょっと待ってて」
閻魔大王は分厚い本を取り出し、ページを巡り始めた。字ちっさ!
閻魔「成程…鉄パイプで頭を殴られ殺されたか…もしくは何者かに恨みをかっていたか…」
四郎「いや、いじめです。俺をやった奴は…」
そうして俺は今までのことを話した。
閻魔「それはそれは…災難じゃったな」
四郎「と言うか閻魔大王様は他の死んだ人のところに行かなくていいんですか?」
閻魔「閻魔大王と言ってもな…死んだ人の中で善良な人並みが与えられる役職だからな。俺一人ではなく何万人といるぞ」
四郎「なるほど」
閻魔「ま、他の閻魔は迷惑するだろうがまぁ、大丈夫だろ」
閑話休題
閻魔「んで、まぁ、どうしたいとかあるか?」
四郎「もう2度とあいつらには会いたくないですね」
閻魔「そうか…ならば転生でもする?」
四郎「え?転生?」
閻魔「うん、転生」
四郎「え?どこに?」
閻魔「それは俺にもわからん…場所も時代も。ただこのままで【はい成仏】っていやだろう?」
四郎「それはそうっすね」
閻魔「ならばやってみる?運が良ければ未来に行けるかもしれないし、裕福な暮らしをできるかもしれない。ただ逆に言えば粗悪な暮らしをすることがあるかもしれないし、転生したことを後悔するかもしれないが」
四郎「うーん…やってみます」
閻魔「そうか?じゃあこれは餞別だ。持ってってくれ」
そうして閻魔大王が渡してきたのは判の押してある紙だった
四郎「これは?」
閻魔「ワシが認めた証みたいなものだ。一応顔は広いから」
四郎「ありがとうございます」
閻魔「じゃあ、このまま進んでいくと転生科だから。頑張れよー」
四郎「あ、ちょっと待ってください!」
閻魔「どうした?」
四郎「一つお願い事がありまして」
閻魔「なんだ?言ってみて」
四郎「ゴニョゴニョ」
閻魔「はーお前もおせっかいだなー」
四郎「じゃあ俺は行くんで、あとはお願いします」
そうしてまっすぐ歩いていくと、明らかに眩しいところがあった
四郎「此処が転生科か?」
?「いかにも!」
わぁ!びっくりしたー何何?死後の世界の人は驚かせるのが得意なの?でも幽霊ってそうだし…うーん
四郎「あなたの名前は?」
覚馬「俺は覚馬っていう。んで、その紙を持っているってことは田中が転生を許可したのか」
四郎「田中って?」
覚馬「お前もあっただろう?閻魔大王って名乗る人に」
四郎「はい。会いました。かなり親身にしてくださって」
覚馬「もーあいつはお人好しじゃの。こっちの仕事が増えるってのに」
四郎「ごめんなさい⤵︎」
覚馬「いやいや、お主は悪くない。で、天才の件、承知した。その白い光の中に飛び込んでくれ。そしたら転生できるはずじゃ」
四郎「そう言えば記憶って…」
覚馬「引き継がれる。ただし、転生したことを口外すると…」
四郎「すると?」
覚馬「死ぬ」
四郎「そんな酷な!」
覚馬「ま、頑張れよー」
四郎「ちょっちょっちょっとー」
そうして俺は白い光の中に吸い込まれていった
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