第19話 これってやばい

「待ってたよ」

 図書室に入ると、貸出返却カウンターに、薫としんこの二人が並んで座っていた。

 別に喧嘩をしていたというわけではなさそうだ。


「今日はまだ部活あるの?」

 薫が聞く。

「じゃ取りあえず簡単にすましちゃおうか、奥に行こうね」


 しんこが先に立って奥の司書室にいく。薫に促され、しんこに続いた亮の後を薫先生が歩く。

 何か護送されている気分がした。逃げたら撃たれる? みたいな。


 後ろ手で薫がドアに鍵をかける。

 分厚いカーテンで覆われた部屋。真夏なのになんか寒いと感じたのは、気分のせいに違いない。


 暑いね。脱ごうか。

 という前に二人はシャツとスカートを脱いだ。


 薫は、黒の上下。しんこはピンク色の普通のパンティー、って上は付けてなかったの。

「私授業ないもの、いつもノーブラだよ。だから、いつ触りに来てくれてもいいから」

「ずるい、じゃ、私も亮のクラスの授業はノーブラノーパンにしようかな、でもこれ色っぽいでしょ」


 薫はそういうとくるっと回って見せた、確かに色っぽい。でも言うことが冗談に聞こえないところがあって怖い。

 最初のころより、いやらしさが増しているような気がする。


「亮も早く脱がなきゃ、部活行くんでしょ」

 二人は並んで机に手をつくと、パンティーを膝まで下した。


 二人のそこがあらわになっている。

「どっちからでもいいから、交代に突っ込んでくれていいよ」


 並べてみると、毛もあそこの形も違うんだと、改めて思った。

 否、そうじゃなくて、二人ともどうしたっていうのさ。


「なにむり? 私たちじゃ満足できないの、入れずに逃げれると思っているの」

 しんこも最近、言うことがどんどん大胆になってきた。

「立たないなら舐めてあげようか、しんこ一人で触って亮に見せて、私舐めるから」


 この状況は学校中の男子が望んでいるに違いない状況、けど、今の亮にはどっちかというとドン引きだ。立つものも立たなくなる。

「だめだって、ここじゃ楽しめない、きょうアパートに行くからその時に」

「何よそれ、私たちとするのが不満なの」

 二人がユニゾンで言った。そういえばユニゾンなんて言葉も、伊都美に習った言葉だった。


「そうじゃなくて、」

 亮がそういった時に火災報知機が鳴った。木造校舎だ、火がついたら。

 二人は教師の顔に戻った。素早く服を着ると、亮をまず部屋から出そうとした。


「二人も一緒に、早く、校庭に」

「大丈夫よ、亮が先に」

 亮は二人の手をつかんで部屋を出た。


 ちょうどそのタイミングで、報知器の音がやんだ。

「今のは、誤動作です、誰かがいたずらしたようです」

 全校放送が入った。


 誰かは知らないけれどナイスタイミングだった。

 薫としんこは顔を見合わせた。こういうのは気分の問題で、まさしくやる気が失せたというのだろう。


「じゃ今夜来て、泊まりだから、明日の準備もね」

「わかりましたけど、ちゃんと説明してくださいね」

「なにを」

「何をってどうして二人が」

「わかった、それもきっちり話してあ・げ・る」


 しかし、いいタイミングだったなあ、いったい誰が。

 音楽室に戻ると、史乃先輩と目が合った。

 まさか……。




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