第4話 日曜日の

 日曜日の学校に亮はいた。薫は理由を付けてここに間宮と荒木を保健室に呼び出すことになっている。

 もちろん用務員さんに断って、だれも人は来ないようにしてあるらしい。


 女の子の悩みを聞くということにすれば、人のいい彼は疑問を抱かなかったらしい。

 これはどうでもいい話だが、亮たちが用務員さんだと思っていた人はちゃんとした先生で、亮たちが卒業してから教頭になったらしい。


 亮は隠れる場所を探している。ベッドの下もいいけれど、撮影がうまくできなさそうだ。結局、窓の外になった。カーテンを閉められると厄介だけど、そこは薫がうまくやるだろう。


「じゃ、そこに座って」

 薫は目ざとく亮の居場所を察知したらしい。間宮に気づかれず斜め横から撮影できる位置に彼女を座らせた。椅子ではなくベッドの上だが、間宮は不思議には思わなかったようだ。


「間宮さん、聞いたんだけど、あなた男の子たちにひどい目にあわされてるんだって。プールの時間に」

 窓の外の亮にも、間宮が息をのむ音がはっきりと聞こえた。


「誰から聞いたんですか。先生に言いつけたらもっとひどい目にあわすって」

 間宮の声が泣き声になっている。

「大丈夫、ちゃんと先生が守ってあげる、体は大丈夫? いたずらされたところ見てあげる。服脱いで見せて」


「え、裸をですか、恥ずかしい」

「じゃ、私も脱ぐから」

 どういう話だと普通は思うだろうが、間宮にその余裕はなかったらしい。

 どこかにいる荒木にも薫の裸を見せるのはちょっとおしい気がするが、しかたがない。

「先生、胸、奇麗ですね。私なんかまだちっさいから」

「ほら見てないで脱いで、私も自分だけ裸だったら恥ずかしい」

 


「こっちに置いとくね、私のも」

 そういうと籠に入れた間宮の服を衝立の後ろに押しやった。

 赤いフリルのスカートと白い提灯袖のブラウス。

 レースの縁取りのついた綿シャツと、金魚の柄のパンツ。

 どれもこれもやっぱり子供用だ、薫のものに比べると色気にかける。

 そうか、衝立の後ろに荒木がいるのだ、薫は微妙にそちらには背を向けている。


 「脚広げて、見せて」

 薫は積極的だ。音で聞くだけだが、それはそれでいやらしい。想像の方が実際よりもおかしな気持ちにさせてしまう。


「ねえ、キスしようか」

「間宮さん可愛いから、もうしたことあるのかな」


「何をですか?キスですか」

「ううん、SEX」

 間宮はむせてせき込んだ、それほど驚いたのだろう。


「ありません、そんなの」

「言葉は知ってるよね、生理の話の時に習ったもんね」

 女子だけを集めてする特別授業、亮は姉の沙織がいたからほかの男子とは違って、何の話かは分かっている。


 それでも内容までは知らなかったから、びっくりした。女子にはそんな話までしているのかと。


「でも今年のプールの時、みんなにやられちゃうかも」

「そんなの嫌です、そんなことされたら、お嫁に行けなくなっちゃう」

 間宮は泣き出した。


「お嫁には行けると思うけど、無理やりやられたら、めちゃくちゃ痛いよ」

「そんなこわいこと」

「だから、痛くないように今日やっちゃおうか」

「え、どういうことですか」


「実はね、大人でそういうことの上手い人を連れてきてるんだ。ううん素敵なちゃんとした人。だから痛くないようにしてくれるよ。私の彼氏」

 荒木が素敵なちゃんとした人? 彼氏、おいおい言い過ぎだろう。本気にしたらどうするの。

 きっと衝立の裏で荒木は、にやにやしているに違いない。



「素敵な人? 先生の彼氏 あってみたいです」

「そう、じゃあ、いいよ出てきて」

 間宮は荒木の姿を見て、思考が止まったのか、素っ裸のまま口をぽかんと開けている。


「荒木先生」

 そこで初めて間宮は自分が裸なことに気が付いた。きゃ、と声を上げ体を丸めた。

「服を、服をとってください」

「だめよ服着たらSEXできないじゃない」


「荒木先生、あとはよろしく」

 荒木は精一杯の笑顔で間宮に近づいた。彼女の裸にすでに理性はとんでいるんじゃないかという顔をしている。

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