第48話 風使い

「ボスを討伐しました。討伐者に称号と報酬を与えます。また、帰還ゲートを生成致します」



(間に合った……のか?)


「良介!凄いじゃないか!」


「タクトが助言してくれ無かったら、全く気付かなかったけどな!」


 盛り上がっていると、一人の女性が申し訳なさそうに会話に入ってきた。


「諦めてしまってすまない。危うく奥の手を使う所だった」


(奥の手?)


 考えてみたが、見当もつかなかった。


「前言っていた事と違うかったんですけど?」


「すまないタクト。どうやら観測者が手を加えたようだ」


「なるほど」


 よく分からなかったが、そう言った。


「では、各自報酬を持って外に出よう」


「はい!」 「分かったよ!」


 ゲートに出る前に、新しく手に入れた鎖鎌を鑑定した。



「支配の鎖」

[レア度]

 ★★★★★

[説明]

大理石で作られた、先端に鎌が付いている鎖。魔力を使う事によって、当てた敵を支配できる。

支配出来る時間は、レベルや使う魔力によって左右される。



(な、なるほど?)


 そして、俺たちはダンジョンの外に出た。




「痛っ!ちゃんと前見ろよ!」


 外にいた男性に肩をぶつけてしまった。


「すみません」


「てか、もう攻略された感じ?」


「ああ、そうだ」


「うわまじかよ!別のダンジョン行ってくる」


 彼はエレベーターに戻って行った。


「……あの人Aランクだよ」


「え!?」


「鑑定してすぐに分かったよ。使、これが彼の異名。まさか彼も恩寵を受けているとはね」


「私は何度も言っただろ?」


「鑑定するの忘れてた……」


 俺は小声でそう言った。


「彼とはいずれ戦う事になる。それまでに強くなろうね!良介!」


「はいはい」


 俺は適当に返事すると、エレベーターに向かった。

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