趣味:階段、仕事:仮説トイレの設置、ユニークスキル:ダンジョン移動

ぉぉぉぉぉぉゃ

0話 プロローグ

「なあ」

「なんだ?」

「このトイレって誰が設置してるんだろうな」

「そりゃー、あれだろ。ダンジョンができるとき、勝手に生えるんだろ」

「でもよー、㈱水瀬水洗って書いてあるぜ」


 数年前、地球突然発生したダンジョン。そこにはモンスターが(ry。探索者、ダンジョン配信者によってダンジョンに潜らない一般人でもある程度ダンジョンの様子を知ることができ、ダンジョンの謎はどんどん明かされていた。

 そんな中、ネットで七不思議とされているものの一つ、水瀬の仮設トイレ。トップ探索者のダンジョン配信でも深層の初攻略階の次の階にもトイレが置いてある。

 置いてあるダンジョンが通常なのではなく、トイレ設置ダンジョンは転々と日本全国で増えているらしい。海外には無いというのも七不思議になった理由の一つでもある。


 ここは水瀬水洗株式会社。小さな会社だ。今日も電話が鳴り響いている。


「はい、その件は企業秘密でしてー、はい、はい、ではー」

「はい、畏まりました。今、担当の者が出張で出払っていまして、帰ってきてからになります。弊社からの距離も考えますと、三日くらい時間がかかりますがよろしいでしょうか。はい、畏まりました。またのご利用お待ちしております。はあ、予約入りました。最近できた熊本県の八代ダンジョンだそうです」

「ホワイトボード書いといて」

「はーい」


 水瀬水洗では各ダンジョンギルドからの依頼で、仮設トイレを設置している。


「うち、仮設トイレ作る会社なんだけどな」


 電話対応で忙しそうな社員を眺め、社長はそう言い、スライムを撫でた。

 このスライムは元々はモンスターだが、家畜化されている。本来のスライムより攻撃意欲が低く、捕食性能が高い。

 なぜ家畜スライムが会社にいるか?それは仮設トイレに使われているからである。ペダルを踏むと便槽にいるスライムが潰され、便器に出る。サッと排泄物を飲み込み、しばらくするとスッと便槽に流れていく。この機構のために水瀬水洗では大きな水槽でスライムを飼っている。スライムを飼うトイレ会社は少ないが、そこまで珍しいものではない。


「あの人、ずっと出張ですね。休み無くないですか?」

「出張とはいうが、ほとんど旅行だぞ?あいつ、さっさと仕事終わらせて、ご当地料理の写真撮って送ってきやがる。こっちはお前が原因の電話対応のせいで忙しいっていうのに」


 話題の人直属の上司は、話しかけた女性社員にスマホを見せる。

 そこにはRINEの画面、「北海道つきました」の文字の下には海鮮丼、ジンギスカン、etc.。


「上司に対しての敬意のけの字も無え」

「お、美味しそうですね」



 一方、件の人物。


「ラーメン美味しい。あっ、先輩に送る写真を撮り忘れました」


 今作の主人公、厚地あつぢ 優輝ゆうきはスマホを触り、北海道で撮った写真をスライドする。上司に送った写真以外は全て階段だ。空港、街中、三道、ダンジョン、目に付く限り写真に撮った。


「最近はエスカレーターやらエレベーターやら、もっと足腰使いましょうよ」


 爺臭いことを言っているが、彼は入社四年の24歳である。

 「御馳走様でした。美味しかったです」と店主にお礼を言い、店を出る。

 さっき見ていた写真のうちの一つをYに投稿し、厚地は帰路に着いた。

 投稿したY'sは普段通り話題になることは無かった。

_________________

 「多分次の話から一人称視点になります。」って書こうと思っていましたが、この能天気さは三人称視点のが映えると思い、迷っています。どうなるかは決めてません。

 書けるだけ書いて投稿ストップするつもりですが、人気なら頑張ります。ダチョウより人気が出たら寝込みます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る