064
ピストルは茂みに二丁落ちているが、一丁は偽物だ。このまま茂みに飛び込んでも、男に先に本物のピストルを見つけられてしまっては至近距離で撃たれるだけだ。
「ええい!」
アオネは履いていた下駄を脱ぐと、男の頭めがけて投げた。下駄はくるくるときれいな放物線を描いて男の後頭部に直撃した。男は倒れる。アオネは素早く男を組み伏せた。
「くっ、やめろ!離せ!」
「離したら私を殺すでしょ」
「わかった!殺さない!それに、埋蔵金のありかも教えるよ」
「どこにあるの?」
埋蔵金にさほど興味があるわけでもなかったが、教えてくれるというのなら聞かない手はなかった。もし、祖父の持つ土地の中にあるのならば、それは正当にアオネの家族の所有物である。
「洞窟だ。神社の裏手に池があって、そこを通り過ぎてしばらく行ったところに洞窟がある。洞窟に入って左の道を進めば、古くて大きい箱がある」
アオネは男の拘束を緩めた。男は喉を押さえてゲホゲホ咳き込んだ。
「見つけたって同じ一日が繰り返すだけだから意味がない。だから私にそう軽々しく教えられるのね」
男は立ち上がった。
「そうだよ。今までいろんなことをしてみたけど繰り返しは終わらなかった。あんたを殺すことだけが繰り返しの終りになると思っていた」
「残念だけど、他の方法を探してみるしかないね。私も探してるんだ」
男はポケットに手を入れた。
「俺はまだ諦めてないぞ」
男はポケットから何等かのスイッチを取り出した。小さめなテレビのリモコンのようにも見える。
「何?花火でも打ち上げようっていうの?」
「爆弾だよ。この祭に来た全員を殺してみるんだ。あと10分で爆発するよ」
「な……!」
アオネは言葉を失う。
「あんたが本当に繰り返しに関係ないなら逃げればいい。爆発すればきっと繰り返しは終わるから、その時あんたは自分が死んでたら嫌だろ。山の裏に地下道がある。そこを通れば下町まで近道できる」
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