旅館【もりのや】の若おかみ

 ようこそ!ここは笠原市にある旅館【もりのや】です。

 もりのやは笠原市にある福部駅から出日大社に続く道にあります。

 笠原市には大手ホテルグループや大手企業の観光事業部が運営している大きな旅館やホテルがたくさんありますが、もりのやはそれに比べるとかなり小さな旅館です。ですが、歴史と旅館のおもてなしは他には負けない自信があります。

 大正時代より代々続いているもりのやは現在創業150年。現在は9代目が旅館を切り盛りしています。笠原市内の宿泊施設の平均営業年数が21年。ですが、ここからもりのやを除くと20年程になります。つまり、もりのやだけでも平均営業年数を1年も上げてしまう程長く続いていることになります。

 さらにおもてなしに関してもお客様に高評価をいただいております。

 大手旅行サイトやGoleegeでの平均星数は4.5。最低でも3.7以上の評価をいただいております。…まぁ、小さな旅館ですので、母数は少ないですが…。それでも、笠原市にあるたくさんの宿泊施設の中でも飛び抜けて評価が高いんです。とある宿泊施設Iホテルさんは最低評価がギリギリ3いくかどうか…といった施設もあるなかでこの星の数はかなり凄いと思います。

 また、従業員一同出勤後の朝礼時におもてなしのおの字よりも大切な挨拶の唱和を徹底し、定期的に自らの接客態度を見直すことを1つの課業としています。

 ですが、そういった仕事として行う接客態度向上行動以前に従業員一同みんながもりのや、そして笠原市が大好きでお客様にも好きになってほしいという思いからおもてなしにも自ら力を入れております。

 そんな素敵なもりのや、是非訪れてみては如何でしょうか?探索者様、一般のお客様、どちらも宿泊可能です。

 …え?長々と話しておいて自己紹介はないのかって?

 失礼いたしました。私、もりのやの若おかみであり、女将、杜 桔梗もり ききょうの孫娘、杜 あやめと申します。

 折角ですし、私について説明させていただきますね。もう少しお付き合いください。

 私はここ笠原市で生まれて17になります。

 …といってももともともりのやにいたわけではないのですが…。

 私の母はもりのやを継ぐのが嫌だったらしく、探索者となり、もりのや、そして実家を出ていきました。

 そして同じ探索者の父と結婚し、私が産まれました。

 ですが、探索者としてダンジョンにいくことを私の育児よりも優先してしまった両親。結果、私の育児状況はほぼネグレクトに近い状態でした。

 お金だけは探索者業で稼いでいたためにお金でなんとかしようとし、飢えはなかったものの、身の回りのことはなんでも自分自身が行わないといけない状態。

 そんな私を見て祖母は私を引き取ってくれたのです。

 もともと物心がつく前後は祖母に預けられることもあり(もりのやを継ぐのが嫌というのもあり祖母のこともあまり…というかかなり嫌っていたそうですが、ダンジョン都市である笠原市を探索者としての拠点にしている以上同じ市内にあるもりのや、そして祖母に預けた方が都合がよかったみたいです。父方の祖父母は県外でアクセスがいいとは言えませんでしたし)、小さい頃からおばあちゃん子でしたので、母と違いこの環境を嫌いになんてなれませんでした。むしろこの環境が大好きになっていく一方ずっと私を見てくれなかった両親のことを嫌い…と言うには嫌悪感は持ってなかったんですけど…何て言えばいいんでしょうか…?苦手?になっていきました。

 そしてそんな私の小さい頃からの夢は女将を継いでたくさんのお客様を笑顔にすること。今は若おかみとしてお仕事を学ぶ傍ら笠原市内の公立高校に在籍しています。…まぁ、正しく言うなら高校に在籍し、様々なことを学ぶ傍ら、があっているとは思うのですが。


 …って長々と話してしまってすみません!………って私誰と話していたんだろう…?


 そんなことを思ったとたんに私の目は覚め朝日が降り注ぐ母屋の私室が視界に広がりました。一体あれはなんだったのでしょうか…。



______


今回も見てくださりありがとうございます!


この作品は基本三人称と主人公あやめの一人称で話が進む予定です。それ以外の視点で書かれたお話はわかりやすいように誰視点かを書きます。


さて、プロローグは後1話で終わります。

ですが、次の話は次の章への繋ぎみたいなものなのでかなり短いです。


こちらは明日投稿予定です。

是非この作品をフォローしてお待ちいただければと思います。


では今回はこの辺りで。

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