No.01『あいべぇ』 赤夜龍

※講評内で作品の内容に触れております。

 致命的なネタバレにはならないように考慮していますが、

 一部・ミステリ的なギミックなどの種を割ることがあります。

 ご了承ください。

◇◇◇

https://kakuyomu.jp/works/16817330661172172525



記念すべき一作目『あいべぇ』です。

まず、特筆すべきはその「スピード」でしょう。


「虫取りしているガキをニコニコ眺めるお姉さん」という概念がX(旧:Twitter)上で発生してから、本自主企画が立ち上げられるまでの時間はおおよそ1時間程度でした。


自主企画開始:2023年7月30日 14:21


そして、『あいべぇ』が書かれたのは――。


本作品執筆日:2023年7月30日 15:54


いや、早すぎですよ。

本当に驚きました。そんなに早く「形」にできるなんて。




さて、そんな『あいべぇ』ですが――内容はホラーとなっています。


タイトルの『あいべぇ』。

読んだ方ならわかると思いますが、この不思議な響きの言葉が強く印象に残る構成になっていました。


作中に登場する「お姉さん」の正体はいったい何者なのか。

短い全文の中で二転三転していく「謎」、その答えは――?


意外にも心が温かくなるような過程を経て、よくできたミステリのように綺麗に「謎」が解き明かされていく――そんな思いは、一瞬にして突き落とされる。


そう、本作のジャンルはあくまでホラーなのです。


実に良い切れ味の短編でした。

そして「競作」における一作目という位置付けからすると、先行作として自主企画全体のカラーにも大きな影響を与えた一石だと思われます。


そう、ミステリから着想を得て開催された本自主企画ですが、作品全体の割合としては意外にもホラーが支配的になっていくのです……。


「コンテストの色は第一回受賞作が決める」という言葉があります。

トップランナーの宿命ということですね。

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