あとがき



 眠いです。

 夜中に目がさめて、そのまま最後の一話を推敲して、今に至る……と。


 ジゴロ探偵の連作短編集四作め。シリーズ全体で言うと七作めになりますね。

 今回は最初から、副題が決まっていて、『ワレスと十二人の恋人』というコンセプトでした。


 ジゴロ探偵の連作短編集って、一冊ごとに、ゆるくですが、コンセプトがあるの、気づいてましたか?

『魔法使いの赤い薔薇』は、ルーシサスの遺した爪跡と、そこからジェイムズのほうへ気持ちがゆらいでいく感じ。

『ワレスは素敵なジゴロ』は、ジゴロとしてのワレスさん。その魅力。

『透明な季節』はまたルーシサスに戻って、それぞれの人たちのなかにある過去。とくに少年少女時代の思い出にかかわる話。


 で、今回は、ワレスさんの恋人たちです。

 なんかある夜とつぜん、「ワレスさんの恋人ばっかり集めた話も面白そう」と思いついてしまって、どうしても書きたかったんですよねぇ。

 じっさいにワレスさんが本気で愛した人たちを集めると、最後に必ず恋人が死ぬ話ばっかりの鬱短編集になってしまうので、今回はジゴロ時代の本気とまでは言えない恋人をそろえました。ルドヴィカの話だけ、ジゴロ時代から十数年後になってますが。あと、いつもの短編集はだいたいワレスさん二十二歳ごろなんですが、今回はちょっと幅があって、22〜27くらいの、もうすぐジゴロやめるねというあたりまでの話が時系列ではなく、ランダムに並んでます。


 本気ではないまでも、比較的大事な恋人から、一回かぎりの相手まで、いろいろ。

 恋人と言えるのかどうかっていう淡い人も。ルドヴィカとか、ラ・ヴァン公爵はどうなんだっていうw プラトニックも最低一話は入れたかったので。


 最初は全十二話の予定でしたが、10万字こえたし、一話に二人の恋人が出てる話もあるので、まあいいかと十話完結にしました。

 今回はどの話も粒ぞろいだと思います。


 連作短編集ではあまりシリーズ通しての感情的な変化を出さないように気をつけているので、どうしてもジェイムズとの関係がずっと友情どまりなんですが、長編も近いうちに書かないとなぁと思ってます。書けるかどうかは時間的余裕のあるなしにかかってますね。

 ほんとは長編用のネタもいくつかたまってきてるんですが。

 そのうち書きますので、どうか気長にお待ちください。


 そういえば、今回はマノンに悩まされずにすんだ、ワレスさん。


 恋人がテーマの回だったので、ワレスさんの口説き文句も堪能できましたねw

 キャッチにも使った「猫を探す? それとも、恋をする?」これは『廃墟の恋人』に出てくるセリフですが、別に狙ってたわけじゃないのに、するっと彼が言いました。おおっ、ワレスさんらしい。

「猫を探す? それともベッドに行く?」が直接話法になるわけだけど、それじゃロマンがないので。


 こういうコンセプトの話だから、ほんとは、「どの恋人が一番よかったか?」とか、ワレスさんの恋人選手権みたいなアンケートとりたかったりもしたんだけど、現状、そこまで読者さんがいないのでムリですね……。


 今回もデペッシュモードを聴きながら書きました。『ultra』ですね。

 ワレスさんはイメージが白人さんなので、声も外国人のアーティストのほうがしっくりくるんですよね。


 んんー、今回の裏話はそのくらいかな?

 ワレスさんの連作短編集は、妄想コンテストのお題を拝借することが多いので、新しいお題が出れば、それだけでネタがおりてくる。ありがたいですね。また、たまったころに書くでしょう。


 ではでは、いつも応援ありがとうございます〜(*'v'*)

 エピソード数が55あるので、12月初旬まで、この話を連載したあと、たぶん、例の恋愛ファンタジーを公開することになると思います。


 それでは、またこのシリーズのどこかでお会いいたしましょう。


 2023/10/22


 と書いておいて、続きがあるw


 いや、たいしたことじゃないんですが、みなさんは昔好きだった曲をとつぜん思いだすときってないですか?


 え? ワレスさんに関係ない?

 いや、あるんですよ。

 ずいぶん昔なんですが、寺尾聰さんの『ルビーの指輪』が大ヒットしたときがあったんですよね。何十年前だ?


 これ、母がアルバム買ったんだったかなぁ? 子どものころ、かなりのヘビロテで聞いたんですよ。今もMDにとってあって、たまに聴くんですが(あっ、若い人、MDとか言って伝わるのか?)、昨日ふと懐かしくなって、また聴いたんですね。


 うん。歌詞が、なんか、ワレスさんだ。


 別れ話が多いんだけど。基本的に自由奔放な男が美女から美女へ旅していく。

 昭和の男のダンディズムが詰まってますね。


 子どものころは歌詞の意味はわかっても

 そこへ辿りつく心理の意味まではわかってなかった。ただ男と女が別れたりくっついたり。だと思ってたけど、違うなぁ。

 今あらためて聴くと、もっと深い意味がこめられてたんですね。大人にならないとこういうのは味わえない。


 ルビーの指輪が有名ですが、ほかの曲もすごくいいんですよ。とくにアルバム最後の曲『出航 SASURAI』の歌詞なんかもう、まんま、ワレスさん。

 歌詞ってここに書くと二次創作あつかいになって強制非公開をくらうので書けませんが、ぜひ、どこかでご覧になっていただきたいです。


 このアルバム『Reflections』リフレクションズっていうらしいですね。ネットで調べたら、作詞のほとんどを有川正沙子さんっていうかたが書いてます。前述のさすらいなんかも。


 なるほど。納得。女性が書いた男の詩だったのか! どおりでカッコいい。女性が思うカッコいい男の姿なんですね。

 なんとなくだけど、有川さんというおかた、次元大介が好きなんじゃ? と思ってしまう。


 できれば、ルビーの指輪だけでなく、アルバム通して聴いてほしいです。というか、一曲だけ聴くなら、前述のさすらいでお願いします。


 一枚聴けば、自由に生きる男の孤独を内包した恋愛遍歴が味わえます。

 今聴いても楽しめると思いますよ。僕が聴くと熱唱してしまって、小説のBGMにならないんですがw


 なんか、『ワレスと十二人の恋人』をふと書きたくなった。そういうのに影響があったのかもなと思ったのでした。


 2023/12/05

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