追放魔導師と最強魔王―短編版―

高月夢叶

プロローグ 追放、そして魔王戦

わたしの名前は、マシロ。異世界で、魔王を倒すために勇者パーティーに所属して魔魔王城に向けて旅をしていた。紆余曲折の旅の果てに、魔王城に辿り着き、


玉座の間の前で、魔王との決戦を目前位してわたしは窮地に陥っていた。「マシロ、君はクビだ」と呆気ないその一言を勇者ユーリに言い渡された。近くに居る仲間たちもユーリの追放宣言に同意しているようだった。




剣士ルーク、クールで何を考えているか分からないが剣の腕は立つ勇者の右腕。たまに口を開けば毒舌が飛んでくる。


魔法使いマホ、膨大な魔力を持ていて、背は低いのにプライドは高い傲慢な性格でいつもわたしをこき使ってイジメてくる。




聖女セイラ、表向きは、天使のような性格だけど裏では表の性格とは裏腹で素の性格は腹黒で醜くいビッチなのをわたしは知っている。




「そ、そんな……」


なんでわたしが!?言葉が出てこなかった。




「なんで自分が追放されないといけないんだって顔だな、冥土の土産に教えてやろう」




「戦闘に参加したらロクに戦えずに足を引っ張るし、居るだけで邪魔になる始末。


出来ることといえば、荷物運びや生活魔法での野営での炊事洗濯の雑用だけ。これを役立たずと言わずになんと呼ぶ」




「アンタなんかなんで勇者パーティーに入ったの?いい加減目障りなのよね!ルークもそう思うでしょ?」




「……まあ、そっすね……邪魔っス」






「そんな二人して酷いですよ。マシロさんはたとえ雑用しか出来ない役立たずでも、わたし達のために必死で働いてくれていたのですよ?出来ることならずっとこのパーティーで私たちのために雑務をして貰いたいくらいですが、ユーリや皆さんの意見が一致している以上仕方ありませんよね?悲しいけど、さよならですマシロさん」




「……」


誰もわたしを引き止めて庇ってはくれない……どうせ要らない子なんだ。














悲しみの中、こんなところに居ても仕方がない。こんな物騒で怖いところなんて直ぐに出たい。パーティーにとって無能なわたしなんて故郷に帰って、農家のスローライフするのがお似合いなんだ。そう思い、その場を振り返ることなく後にした。




周りに誰も居ないことを確認すると転移魔法を展開して故郷、シルバーテイルに向けて転移した。










マシロを勇者パーティーから追放したユウト達は、玉座の間へ入ると魔王は玉座腰を下ろし、こちらを見下ろしていた。魔王は驚いた表情をすると不快な顔でこちらを睨みつける。






「何じゃ、お主らは?ここは我が城ぞ。不法侵入ではないか!四天王はどうした?!」






「俺たちは勇者パーティーだ!魔王、お前を倒しに来た!」とユーリが高らかに宣言する。


「四天王?ここにくる前に倒した奴らのことか?なかなか骨が折れる奴らだったな


まあ、オレの剣技の前では敵じゃなかったけど……」


ルークは気怠そうに言う。




「魔王、お前はここで倒す!」




「ユーリ、援護するわ」




「ありがとう、マホ」




「回復は任せてください」




「頼りにしているぞ、セイラ、皆,いくぞ!」と仲間を鼓舞して、魔王に突撃する。






「貴様ら、勝手に我が城に足を踏み入れて...我を倒すなど、笑わせる、一捻りにしてくれるわ」








「俺たちを葬るつもりか?俺たちも、魔王と因縁の決着を付けにきたからな。!」






「分かっておるのか?我は吸血鬼の頂点に君臨するの魔王だぞ!怪我をする前に立ち去るがよい、今なら特別に見逃してやるぞ」




(さあ、早く立ち去るがいい戦闘なんてまっぴら御免だ!)




「魔王を前にして逃げ出せるか!魔王、僕たちの因縁の決着を付けようじゃないか!」




「いや、お主とお我は初対面なんじゃが?!因縁って...。..」




「我がお主など、赤子の手を捻るように倒してくれよう!」立ち上がってコートを翻す。


そう、高らかに宣言する。




(なんて好戦的な奴らなんじゃ……あんな暑苦しい奴を相手にするのなんて御免じゃ。少しばかり脅せば身を引いてくれるじゃろ)


「キャー!可愛い。ちびっ子魔王よ!金髪赤眼で可愛い!名前はなんて言うのですか?」








セイラが魔王のちんちくりんの全身を見るや、急接近して頭をなでなでとテンションMAXで愛でてかかる。






「やめろー!頭を撫でるなーどさくさに紛れて胸を触るなー!」




それで、お名前はなんですかー?」




「やめろ!猫を撫でるように顎の下をくすぐるなー!分かった、言う、ルナじゃ!」




「そうなんだーよろしくねルナちゃん!」とリーシャはルナを解放する。




「おい!魔王にちゃんづけするな!お主の点滴だぞ!」






「おい魔王、なにセイラと打ち解けいてる?!俺たちは宿命の敵同士だぞ?!!お前を倒して世界を平和にしてみせる!」




「ちょっと待てぃ!コイツらウゼー!我は、宴を楽しみたいだけなのに!」




「ルナちゃん宴を開いていたのー、どう?楽しい?」




「うん!楽しい!じゃなかった、よくも我の宴を邪魔したな。この罪は重いぞ!」








「お主ら魔王城に殴り込みとはいい度胸じゃな。我が......う、いや何でもない」




(どうしよう、酒を飲み過ぎた、トイレに行きたい!でも敵を前にして行かせてくれなんて言えるか!)




「ん?どうしたの?ルナちゃん」




「な、何でもないぞ。いいからお前達は早くここからさっさと立ち去るがよい!」




「ん?魔王、お前、さっきからなにステップ踏をんでるんだ?」




「お、お主には、関係ないこと、じゃ......」




「さては、お前、僕と一曲踊りたいのか?だが断る!俺は勇者だからな魔王とは馴れ合わないんだ!」




「いや、踊らないぞ。誰が勇者となんか!」


(ヤバイ!もう限界じゃ、漏れそう...もう、魔王としてのプライドなんて我は捨てる!)




「おい、お主。我は、トイレに行きたい。そこを退け。」




「なに言をってるんだ?魔王、これから命の奪い合いをしようというときに!」






「いいから早くそこを退いてくれー!!」




「そんなにトイレに行きたかったら俺の屍を超えてゆけ!」




「ええい!面倒くさい望み通り消し炭にしてくれようぞ!」






「極大魔法展開。ヘヴンズゲートオープン!木っ端微塵にしてくれるわ!」




「うおー!!」と勇者ユーリは捨て身で突撃してくる。


(て言うか退けよ!痛いんだぞー!)




ゲートから魔剣を取り出して魔剣を振るおうとするやいなや、玉座の間全体を包み込む巨大な魔法陣が展開する。


「な、なんじゃ?」


「魔王、お前の仕業か?!」




「ち、ちがう!我じゃない!」




「うわー!」


「ギャー!」






勇者パーティーとルナは、眩い光の中へと消えていった。


 そして、玉座の間は誰一人居ないもぬけの殻になるのだった。




                     ***




「どこだここは?俺達は、さっきまで魔王と闘っていたはずなのに...」






辺りを見渡すも、見たこともない高い建物が広がり草木も生えていない綺麗な大地が広がるばかりだった。




「ここはどこだ。俺たちはどうしてこんなところにいるのだ」




「セイラ、マホ!ルーク。居るか?!」




辺りを見渡し二人の安否を確認しようとする。




 「大丈夫よ」


「ここに居ますよー」


「大丈夫っす、無事っス……」




すぐ傍で二人の声が聞こえてくる。」「良かった、二人とも無事のようだ。居ないのはマシロだけか...」








「マシロさんは居なくたって問題ないでしょう?もう仲間では無いんですから」






「今の、マシロの転移魔法だよな、マシロ自身が使ったのかもしれないな」












「まあ、そうなるな。生活魔法が使えるアイツのことだからひとまず安心していいぞ。むしろ安心できないのは僕たちの方だな。ここ、どこだ?」と見知らぬ光景を見渡す。木の実すらないこの見慣れない土地。高くそびえ立つ建物。広い道路を行き交う、鉄の馬車。


もない。




「マシロがいれば探索魔法が使えたのに……」








「何だよ!僕がマシロを追放したのがいけないって言いたいのか!」








「ユーリ、あなたはこのパーティーで唯一の優秀な生活魔法が使えるあの子を追い出したのよ。この意味は分かっいてますよね?」








「さあ、何のことだか?考え過ぎじゃないか?アイツは無能な魔導師だぞ?俺たち勇者パーティーには相応しくないさ!」






マシロが居た頃は、普通に出来ていたことができなくなり、生活面は苦しくなる一方。




勇者ユーリが自分のしてしまったことの重大さに気付くのはそう、遠くない。



























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る