飛んでも時代劇

羽弦トリス

第1話水戸黄門その1

「助さん、格さん、ちょっとそこの茶屋で休憩しようよ。もう、わしも歳なんだから」

と、杖を持つ白ひげの老人はガタイの良い2人の青年に懇願する。

「御老公、急ぎの旅路ゆえなりませぬ。半刻前もお茶を一服されたではありませんか!」

「つれない事を言うなよ!助さん。ね?格さん」

格さんと呼ばれる青年は、

「しょうがない。では、そこの茶屋へ寄りましょう」

3人は茶屋に向かい、一服の茶と団子を食べていた。


キャー!助けてぇー!


若い娘の声がした。

「御老公、一大事です。娘を助け無くては」

と、格さんが言うと、助さんも立ち上がる。

「行くな、行くな!面倒はゴメンだよ!無視しなさい」

2人の青年は、

「御老公は、正義の味方の水戸黄門!」

「そうです。娘を助けましょう」


キャー!


「捕まえたぞ、手こずらせやがって!オメェはお父つぁんの借金のカタだ!」 


「待ちなさい!」

「何だ、オメェら!」

「その娘をこちらに渡せ!」

「何だと〜!」

と、数人の悪人は助さん、格さんに襲いかかった。

悪人どもは、助さん、格さん、御老公に襲い掛かる。

悪人が御老公に刀を振り下ろすと、

「御老公、失礼!」

御老公は助さんに助けられたが、茶屋の柱で顔面をぶつけ、鼻血を流した。

助さん、格さんは次々と悪人を懲らしめている。

また、1人の悪人が御老公に襲い掛かる。

「御老公、ご無礼!」 

と、格さんは御老公を突き飛ばし、助けた。

御老公は茶屋の壁に再び顔面をぶつけて、前歯が折れた。


「控えい、控えい、この紋所が目に入らぬか!」


悪人どもは、葵の御紋にひれ伏した。

「ここに、おわそる方をどなたと心得る。恐れ奥も天下の副将軍、水戸光圀公なるぞ、一同頭が高い。ひかえおろう!」


水戸光圀は、顔面を血まみれにしてヨロヨロと立っている。

そして、

「やい、娘。今夜の夜伽を所望する」

「御老公様、脱糞されております」

「……後期高齢者は大事に扱いましょう」と、言って、

水戸光圀は満身創痍でその場に崩れた。

助さん、格さんは悪人どもに御老公を旅籠まで運ばせた。

着いた頃には、御老公は瀕死の状態だった。

一月はこの旅籠で静養したとか、しないとか。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る